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FDA、糖尿病薬の安全性評価ガイダンス改訂へ
新規糖尿病薬の心血管アウトカム試験、不要に
第3相試験までを拡充し全般的な安全性の評価に方針転換

 米食品医薬品局(FDA)は3月9日、新規糖尿病治療薬を対象とした心血管安全性評価ガイダンスの改訂案を発表した。現行の動脈硬化性心血管疾患のリスク評価に特化したものから、有害事象の幅広い評価を目的としたものになっている。現在、パブリックオピニオンを求めており、それを踏まえて新しいガイダンスが正式発表される見込み。

 ガイダンス案では、これまでのように全ての新規糖尿病薬に対して、ランダム化比較試験による一律的な虚血性心血管イベントのリスク評価を求めていない。それに代わり、第3相試験において少なくとも4000人・年の規模で被験薬に暴露され、その期間も1500人は1年以上、500人は2年以上であることを求めた。

 また、糖尿病患者は細小血管症や心血管疾患など多様な疾患を合併していたり高齢者も多いことから、第3相試験に登録する患者は多様な背景因子を反映させることを求めた。具体的には、例えばステージ3〜4のCKD患者を500人以上、心血管疾患既往者を600人以上、65歳以上の高齢者を600人以上、これらの背景因子を少なくとも1つ持つ患者を1200人以上などとしている。

 さらに、これまで通り動脈硬化性心血管疾患については正確に追跡可能なイベント収集を求めたほか、開発段階で判明したリスクに対する必要イベント数の増加といった適切な対応、新たな安全性データの収集が必要な場合は第3相試験に進む前に規制当局とコンタクトすること、臨床試験における独立した安全性評価組織を作ることなどを求めている。

 2008年に発表された現行のガイダンスは、ロシグリタゾン(日本未発売)の投与によって心筋梗塞や心血管死亡が増加するという報告が米国で社会的な問題となり、批判の矢面に立たされたFDAが急ごしらえしたものだった。同ガイダンスに沿って行われた大規模なランダム化比較試験(CVOT)から、一部のSGLT2阻害薬やGLP-1受容体作動薬で心血管リスクの有意低下という想定外のエビデンスが報告されたが、幸か不幸か心血管安全性で問題となる薬剤は見いだされなかった。CVOTの実施には莫大な費用が掛かる上、ロシグリタゾンの心血管リスク上昇も後には一応否定され、「大山鳴動してねずみ一匹」となったガイダンスは改訂が議論されていた。

 FDA代謝内分泌製品部門長のリサ・ヤーノフ氏はプレスリリースの中で「これまでのガイダンスでメーカーは、虚血性心血管イベントのリスクが上昇しないことを示せば良かった。新しいガイダンスでは、糖尿病治療薬の安全性に関してより広範な情報が得られるようになる」としている。

 ガイダンス案はFDAのウエブサイトで閲覧できる(こちら)。

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