日経メディカルのロゴ画像

「あずみの里」控訴審、初公判で結審
「窒息ではなく脳梗塞の可能性」を指摘する医師の意見書3通は証拠採用せず

 長野県安曇野市の特別養護老人ホーム「あずみの里」(定員65人)で2013年12月、入所者の女性(当時85歳)がおやつのドーナツを食べていて意識を消失し、その後に死亡したことで業務上過失致死罪に問われた准看護師の控訴審の第1回公判が2020年1月30日に行われ、即日結審した。弁護側は「死因は脳梗塞と考えられる」とする3通の医師の意見書を含む16の証拠を提出し、医師や刑法の専門家など7人への証人尋問、裁判所が選任する鑑定人による医学鑑定を求めたが、裁判長は証拠1つを除いて全て却下した。判決言い渡し日は未定。

 刑事訴訟となっているのは、社会福祉法人協立福祉会(長野県安曇野市)の特別養護老人ホーム「あずみの里」において、2013年12月12日午後3時15分ごろ、おやつの時間に食堂でドーナツを食べていた入所者の女性Kさんが意識を消失し、職員による救急処置の後に病院へ救急搬送されて2014年1月16日に死亡した件について。Kさんの意識消失時、隣の席には看護職員(准看護師)のY氏が座ってほかの入所者を介助していた。

 検察は、Kさんの死亡をY氏が注視義務を怠ったためとして、2014年12月、長野地方裁判所に在宅起訴。4年以上の審理を経て2019年3月25日、長野地裁は「おやつ形態確認義務を怠り、ゼリーを提供すべきKさんにドーナツを提供した過失により、喉頭ないし気管内異物による窒息をさせ、死亡させた」として、業務上過失致死罪で罰金20万円の有罪判決を下した。この判決に対してY氏と弁護団は即日控訴していた(関連記事)。

 弁護団は一審判決について、Kさんの死因を窒息によるものとしたこと、Y氏におやつの形態を確認する義務があったとしたことの2点を誤りと指摘。特に死因については、オートプシーイメージング、救急医学、脳神経外科の専門家の3通の意見書を提出。これらの意見書では、既往歴、意識消失後の胸部X線写真、死後の頭部CTなどを基に、いずれも意識消失は脳梗塞によるものである可能性が高いことを指摘している(表1)。

この記事を読んでいる人におすすめ