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早くて来春に移植、血液透析を受ける3人が対象
3Dプリンターで作った人工血管、臨床研究へ

 佐賀大学は11月12日、バイオ3Dプリンターを用いて作製した「細胞製人工血管」を世界で初めてヒトに移植する臨床研究を開始したと発表した。11月7日に再生医療等提供計画を厚生労働省に提出しており、順調に行けば来春にも1例目の移植を行う。

 移植の対象は血液透析を受けている患者3人。自家血管のシャントに狭窄・閉塞、瘤化などで不具合が起きている人に対し、細胞性人工血管を使ってシャントのバイパスや置換を行う。もしくはシャント作成時に静脈を延長する目的で人工血管を用いる。使う細胞製人工血管は、同大医学部附属再生医学研究センター教授の中山功一氏らが開発したものだ。患者本人の鼠径部などから皮膚組織(線維芽細胞)を約1cm×3cm採取し、ジャパン・ティッシュエンジニアリング(J-TEC、愛知県蒲郡市)で人工血管を作製する。それを佐賀大病院に出荷し、患者の肘~前腕の動静脈へ移植する。早くて今月中に1例目の患者の皮膚を採取し、2~3カ月培養した後、来春に移植手術を行う計画だという。

 この細胞製人工血管の作り方は非常にユニークだ(参考記事:細胞団子を「剣山」に刺して血管を作る)。細胞が接着しないように表面加工された培養皿に、目的の細胞をばらばらの状態で培養する。細胞は隣り合ったもの同士で凝集する性質があるため、数日培養すると団子状(spheroid)になる。この細胞団子を剣山状の針に刺していき、目的の形を形成する。団子を剣山に刺したまま、培養液中で2~3日間固定すると、隣り合った団子同士がくっつき、針を抜けば目的の立体物ができる(写真1)。できた細胞チューブを縦に並べてしばらく培養することで、長軸方向に伸ばすこともできる(写真2)。

写真1 剣山に刺した細胞の団子(spheroid)
バイオ3Dプリンターを用いて剣山に刺しながら積層(左)。数日後、細胞の団子同士が融合している(右)。(提供:サイフューズ、写真2も)

写真2 透析用人工血管を想定した細胞チューブ
ヒト線維芽細胞から作った内径5mmのチューブ(左)とそれを長軸方向に連結し融合した細胞製人工血管(右)。

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