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学会トピック◎第74回日本大腸肛門病学会学術集会
肛門疾患・直腸脱診療ガイドライン改訂版の概要を紹介
疫学や病因などの総論と計17のクリニカルクエスチョンを設定

 痔核・痔瘻・裂肛に新たに直腸脱を加え、各疾患の概要を紹介するとともに計17のクリニカルクエスチョンを設定した。年明けには発刊予定だ――。10月11日から東京・港区で開催された第74回日本大腸肛門病学会学術集会で、同学会で作成を進めている肛門疾患(痔核・痔瘻・裂肛)・直腸脱診療ガイドラインの2019年版の概要が紹介された。作成委員長を務めた東京山手メディカルセンター(東京・新宿区)大腸肛門病センターの山名哲郎氏が発表した。

 肛門疾患診療ガイドラインが初めて発刊されたのは2014年。痔核、痔瘻、裂肛の3疾患を対象とし、疾患ごとに10のクリニカルクエスチョンを設定していた。このクリニカルクエスチョンには病因、疫学、症状なども含まれていた。

 このガイドラインの改訂に向けて2017年に作成委員会を発足。直腸脱を新たに対象に加え、Minds最新版に準じて、疫学や病因、臨床所見などは総論として文献レビューし、診断や治療における重要臨床課題をクリニカルクエスチョンとして設定して文献レビューを行った。

 改訂版ガイドラインの目的は、痔核、痔瘻、裂肛といった肛門疾患と直腸脱の診療に関する科学的根拠をまとめ、適切な臨床上の判断を行うための推奨を提供することと設定した。各疾患について改善を目指すアウトカムを設定している。具体的には(1)痔核では、根治性・術後疼痛・後出血や狭窄などの術後合併症、(2)痔瘻は、治癒率・術後の肛門機能温存・クローン病に合併する痔瘻の治療、(3)裂肛は、長期的治癒率・術後有害事象・クローン病に合併する裂肛の治療、(4)直腸脱は術式選択の指針・再発率・術後合併症・術後排便機能・ハイリスク患者治療――だ。

 また近年、様々な治療法の開発が進んでいるため、トピックとして以下のものを扱っている。(1)痔核では、ALTA単独療法の長期成績、ALTAと結紮切除との併用療法、超音波・熱凝固デバイスの利用、外来手術、ACL(肛門クッション吊り上げ術)、痔動脈結紮療法、mucopexy、妊娠時、抗凝固薬、(2)痔瘻では、複数痔瘻のMRIやエコーによる画像評価、fibrin glue、fistula plug、seton、括約筋温存術の多様化とそれぞれの成績、クローン病合併痔瘻(seton、手術、バイオ製剤)、乳児・小児痔瘻、(3)裂肛は薬物治療、手術適応、術式選択、術後長期成績、(4)直腸脱は、排便造影などの術前評価法、術式選択、縫合固定およびメッシュ固定、ventral rectopexy、ハイリスク患者の治療方針、他の骨盤臓器脱を合併した症例の治療法――だ。

 トピックや重要臨床課題を加味して設定したクリニカルクエスチョンは以下の通り。

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