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模擬患者の養成者が認定制に?
医学生の医行為のためCBTとOSCEが法的な位置付けに

 厚生労働省の医道審議会医師分科会は2019年9月27日、共用試験の公的化および、Student Doctorを法的に位置付けることで合意した。今後、報告書をまとめ、関係法に位置付けることを目指す。

 2005年以降、医学部の臨床実習前には、知識を試すCBT(Computer Based Testing)と技能と態度を評価するOSCE(Objective Structured Clinical Examination)が行われている。現在、厚労省では医学生が行うことができる医行為を整理し、臨床実習を診療参加型にするよう議論を進めている。だが、コンピューターで画一的に行えるCBTと異なり、OSCEに関しては評価が一定ではないことなどが問題となっていた。

 27日に開催された医師分科会では、OSCE実施に必要な模擬患者の質の担保と評価レベルの標準化が議論された。現在、大学が独自に模擬患者を育成しているケースもあるものの、1992年より模擬患者の育成を手掛けてきた、ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子氏は、「大学で独自に模擬患者を育成すると、模擬患者の理解やレベルにばらつきがあったり、教員の異動で方針や方法が変わってしまう問題がある。また、学生に甘くなるケースもある」と話し、臨床実習の前後でOSCEを実施するために十分な模擬患者数と質を確保するためにも、基準を作って養成者を認定制にするべきと主張した。また、センター化を進めてブロックごとでの模擬患者を養成すべきとも指摘した。

 千葉大学理事・副学長中谷晴昭氏も「指導者を守ることにもなるため、共用試験は公的な位置付けにするのがふさわしい。公的化のためには、模擬患者の対応の均一化、評価の均てん化は必須。全国でどうやるのか。今後検討してもらう形になる」と話した。

 既に山口氏が理事を務める医療系大学間共用試験実施評価機構(CATO)では、「共用試験機構医学系OSCEのためのSP連絡協議会(仮称)」を設置。「共用試験用認定SP制度」に向けた議論を開始しているという。他の委員からは、模擬患者不足に他の医療者の活用などの提案もあったものの、「医療者では、医師が次に何をしようとしているか分かってしまう。非医療者が行うことが重要」(山口氏)として、リタイアした世代などに声がけをすることを提案した。養成期間については、「資質によるものの、こつさえわかれば1カ月あれば十分という人もいる」(山口氏)として、制度化すればOSCEが法的に位置付けられた際に十分数の模擬患者の要請は可能であることを示唆した。

 共用試験を法的に位置付ける際には費用が問題になるが、厚労省からは2020年度予算概算要求で、臨床実習前の共用試験の実施支援や模擬患者の養成支援で、16億8376万円を要求していることも報告された。実際の模擬患者に対する謝金については、受験費用などを充ててまかなっていく考えだ。

 共用試験の法的位置付けについては一致を見たものの、国立国際医療研究センター理事長の國土典宏氏は、「共用試験が公的なものになると、大学では負担が増える。働き方改革に逆行しないようにしてほしい」とくぎを刺した。

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