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学会トピック◎第67回日本心臓病学会学術集会
CKDステージが進むほど高率で心房細動発症
1万人規模の特定健診の調査から

日本医科大学多摩永山病院の小谷英太郎氏

 心房細動の新規発症率は、慢性腎臓病CKD)のステージが進行した患者ほど高い――。東京都多摩市における特定健康診査(特定健診)受診者の心房細動発症率とCKDの重症度との関連性を検証した結果を、日本医科大学多摩永山病院(東京都多摩市)内科・循環器内科の小谷英太郎氏が第67回日本心臓病学会学術集会(9月13~15日、開催地:愛知県名古屋市)で報告した。

 心房細動に伴う心原性塞栓症を予防する上で、心房細動の早期発見および発症予防の重要性が指摘されている。心房細動発症のリスク因子の1つとしてCKDが知られており、過去に推定糸球体濾過量(eGFR)と心房細動発症についての検証はなされてきたが、eGFRに加えて尿蛋白区分も加味したCKD重症度分類と心房細動の新規発症との関連性については明らかではなかった。

 小谷氏らは、東京都多摩市の特定健診で測定されている心電図および血清クレアチニンの検査結果から、CKD重症度分類別の新規心房細動発症率を調査し、CKDの重症度が新規心房細動発症のリスク因子となるかを検証した(多摩市医師会プロジェクトAF・CKD)。なお、一般的な特定健診では、心電図は医師が必要と認めた場合のみ実施する「詳細な検診の項目」となっており、血清クレアチニンについてはそもそも検査項目に含まれていないが、多摩市医師会では2008年度以降、心房細動およびCKDの早期発見のため、特定健診の全対象者に対して両項目を必須項目として検査を行ってきた。

 調査の対象としたのは、2012年度に多摩市医師会所属の医療機関で特定健診を受診した国民健康保険加入者1万3478人(平均年齢:65.6±7.8歳、性別:男性が42.0%)。このうち、既に心房細動を罹患していた157人(有病率1.2%)、CKD分類が不明だった37人、翌年以降に特定健診を受診しなかった1896人を除いた、1万1388人(平均年齢:65.4±7.3歳、性別:男性が41.0%)について5年間追跡し、CKDの重症度とその後の新規心房細動発症の関係性を検証した。

 CKDの重症度は、日本腎臓学会の「CKD診療ガイド2012」に基づき、年齢、性別、血清クレアチニンの値から導出したeGFR、および尿蛋白の検査結果から、4ステージ(低リスク順に緑、黄、オレンジ、赤)の各群に分類した(図1)。各ステージの人数は、緑群9383人、黄群1670人、オレンジ群252人、赤群83人だった。心房細動の診断は、特定健診時に標準12誘導心電図を記録し、心電図の自動判定または医師の判読により行った。

図1 CKDの重症度分類(出典:「CKD診療ガイド2012」)

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