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学会トピック◎第64回日本透析医学会学術集会・総会
透析を希望しない意思決定プロセスも提示へ
認知症患者の自己決定、保存療法の管理も検討

横浜市で開催された第64回日本透析医学会学術集会・総会

 公立福生病院(東京都福生市)で透析を中止した女性が亡くなった事例を受け、「維持血液透析の開始と継続に関する意思決定プロセスについての提言」(2014年)を見直している日本透析医学会は6月28日、第64回日本透析医学会学術集会・総会(6月28~30日、横浜市)で、終末期でない患者が透析を希望しない場合の意思決定プロセスを盛り込むなど、新たな提言の方向性を示した。

 新提言の方向性は、委員会の総意ではなく、委員長を務める岡田一義氏(川島病院、徳島県)の私見という形で提示された。

 私見では、提言の見直しに当たって(1)患者の自己決定権を尊重する、(2)患者が人生を全うすることを支援する、(3)尊厳性を重視する、(4)全国の医療機関で対応できるものとする――などを検討の基本方針としていることが示された。

 また、認知症患者の透析例が多いことから、認知症患者の意思決定プロセスについても検討する意向を示した。厚生労働省の「認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン」(関連記事)などを参考に検討する。

 医師や医療チームの基本的な姿勢については、「患者には自らの意思で医療を受ける権利と拒否する権利がある」ことを前提に、患者への説明においては「全ての治療の選択肢を示すべき」とした。腎代替療法の選択肢としては、腎移植、血液透析、腹膜透析、保存療法の4つを提示する。「透析非導入」は不適切な表現との判断から、「保存療法」を採用している。

 保存療法については、Conservative Kidney Management(CKM)に関する論文が多いことから、その最新知見を盛り込みたいとしている。

 新提言では、意思決定プロセスにおける「意思確認書」を重視し、そのひな型を提示する。意思確認書には、透析をしない場合に死亡する可能性が高まることや、希望すれば透析を導入できることなどを明記する。また、作成後も、病状の変化に応じて患者の意思を確認することを盛り込む。

 終末期ではない患者が透析を拒んだ場合については、まず医療チームと患者・家族で正常な意思決定であることを確認するプロセスを盛り込む。医療チームと患者・家族で意見が一致しない場合は、複数の専門家からなる委員会で議論する手順を示す方向だ。

 提言の見直しを進めているのは、3月22日に発足した「人生の最終段階における維持透析の開始と継続に関する意思決定プロセスについてのガイドライン(案)委員会」。4月28日の第1回会合では委員会メンバーの顔合わせを行い、5月26日の第2回では、見直しのための役割分担を決めた段階だ。委員会名は、終末期に限らない事例にも対応するため「人生の最終段階」を外し、またプロセスについての考えを示すものであることから「ガイドライン」ではなく「提言」とし、「維持透析の開始と継続に関する意思決定プロセスについての提言作成委員会」に改名している。

 今後、委員会で案をまとめ、学会会員の意見を反映させたうえで、年度内には新提言としてまとめたいとしている。

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