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 「糞便移植療法(FMT)には、深刻な、または命にかかわる感染リスクが潜んでいる可能性がある」――。米国食品医薬品局(FDA)は2019年6月13日、「Important Safety Alert Regarding Use of Fecal Microbiota for Transplantation and Risk of Serious Adverse Reactions Due to Transmission of Multi-Drug Resistant Organisms」と題した警告を発出した。

 FMTとは、腸内細菌叢が乱れた患者の腸内に健常者の便を腸内細菌叢ごと移植することで、患者の腸内細菌叢を再構築する治療法のこと(関連記事:腸内細菌叢を大きく変える抗菌薬併用糞便移植)。欧米の診療ガイドラインでは、Clostridioides difficile感染症(CDI)を原因とする偽膜性大腸炎などに対して適応を持つ。今回の警告は、CDI患者に対し、同一のドナーが提供した便から調製されたFMTを行ったところ、免疫不全状態にあった2例に侵襲性感染症が発生し、そのうち1例が死亡したことから発出に至った。

 2例は、基質特異性拡張型βラクタマーゼ(ESBL)産生大腸菌に起因する侵襲性感染症を発症。有害事象発生後に保存してあった同ドナーのFMT調製物を調査したところ、死亡患者から単離されたESBL産生大腸菌と同一の菌が検出された。FDAは本事例について、「ドナーの便がESBL産生大腸菌のスクリーニングが行われることなく移植されてしまったこと、こうした致死的な菌が免疫低下状態の患者に移植されてしまったことで起きた」とし、FMT実施時は移植前にスクリーニングを行うことや、患者にリスクの説明をすることなどを要求した。

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