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学会トピック◎EuroPCR 2019
第2世代生体吸収性ステント、2年間血栓症ゼロ
MeRes100ステントの国際共同臨床試験結果から

ブラジル・Instituto Dante Pazzanese de CardiologiaのAlexandre Abizaid氏

 第2世代の生体吸収性ステントの1つである「MeRes100」の留置後2年間、ステント血栓症は1例も発生しなかった――。国際共同臨床試験の成績とその後2年間の追跡結果を、ブラジル・Instituto Dante Pazzanese de CardiologiaのAlexandre Abizaid氏らがEuroPCR 2019(5月21~24日、開催地:フランス・パリ)で報告した。

 生体吸収性ステントは、留置後数年以内に本体が自然に分解して消失するステントで、金属ステントと区別するため、生体吸収性スキャフォールドとも呼ばれる。日本では、アボット社製の「アブゾーブ」が2016年に承認されていたが、2017年に発表されたAIDA試験で、2年間の追跡においてステント血栓症の発生リスクが高いことが報告され、同年9月に全世界での販売終了が発表された。それ以降、生体吸収性ステントの開発は下火の状態が続いていた。

 メリル社が開発したMeRes100は、本体はアブゾーブと同じポリ乳酸だが、ストラットの厚さは100μmでアブゾーブ(157μm)よりも小さい。また、薬剤としてシロリムスを使用している。

 Abizaid氏が主導したMeRes-1 Extend試験は、ブラジルやオランダなど世界8カ国で実施した国際共同第1相臨床試験で、冠動脈に新規病変を有する患者に対するMeRes100留置の安全性と有効性を検証した。対象としたのは、18歳以上で自己冠動脈に1個または2個の新規病変を有する患者64人。対照血管径が2.75~3.50mm、標的病変長が20mm以下、2病変を有する場合は異なる冠動脈に位置することなどを患者選択基準とした。

 安全性に関する主要評価項目は6カ月後の主要心血管イベント(MACE:心血管死亡、心筋梗塞、虚血性標的病変血行再建[ID-TLR])、副次評価項目はステント血栓症の発生数などとした。有効性は定量的冠動脈造影法(QCA)により評価する晩期血管径損失(late lumen loss)、および光干渉断層撮影(OCT)で評価する最小血管内腔面積(minimum lumen area)と新生内膜過形成(NIH)とし、留置後2年間追跡した。

 治療時の患者の平均年齢は58.3±9.0歳。64人のうち安定狭心症が44人、不安定狭心症が6人、無症候性虚血が14人だった。左室駆出率(LVEF)の平均は59.6±8.8%だった。

 その結果、追跡可能だった62人のうち、1人に対して6カ月以内にID-TLRが行われた。2年間の追跡期間でこれ以外のMACEは発生せず、MACE発生率は1.61%だった。また、2年間でステント血栓症は1例も発生せず、心血管死亡も1例もなかった。

 6カ月後の晩期血管径損失は0.18±0.31㎜で、「低い晩期血管径損失を達成し、高い新生内膜肥厚抑制効果が確認された」(Abizaid氏)。また、6カ月後にOCTによる評価を行った21人の平均血流面積は、6.0±1.8mm2、最小血管内腔面積は4.2±2.1mm2、ステントストラットが被覆された割合は97.9±3.7%だった。Abizaid氏は「留置6カ月後も十分な血流面積が維持され、ステントストラットはほぼ完全に被覆された」と強調した。

 以上の結果を踏まえて、Abizaid氏は「MeRes100の臨床試験では、非常に低いMACE発生率を達成し、ステント血栓症は1例も起こらなかった。生体吸収性ステントのどれもが同様の技術で作られているわけではなく、ストラット厚の薄い生体吸収性ステントの今後の発展が期待できる」と総括した。

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