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新・家庭医療専門医、病院総合診療専門医を養成
プライマリ・ケア連合学会、総合診療医にサブスペシャルティ創設へ
キャリアパスを明示し、研修内容の質保証図る

理事長挨拶で、新専門医制度について明らかにした草場鉄周氏。

 日本プライマリ・ケア連合学会は5月18日、総合診療専門医の新専門医資格として、「新・家庭医療専門医」「病院総合診療専門医」「在宅や緩和などのサブスペシャルティ専門医」を創設する方針を発表した。新専門医制度において、日本専門医機構サブスペシャルティの議論が進まない中、学会として総合診療医のキャリアパスを早期に示すことを目指す。

 日本プライマリ・ケア連合学会の新理事長挨拶に登壇した草場鉄周氏は、「人口減少、少子高齢化、都市への人口偏在がある中で、縮小する地域に臓器別の専門医を多数配置することは無駄が大きい。幅広く対応可能なプライマリ・ケアの専門家を配置することが不可欠」と話し、学会として日本社会の基盤インフラとしてのプライマリ・ケアの確立を目指すことを強調した。

 だが、日本専門医機構による新専門医制度下で総合診療の専攻を選択する医師はこれまで年間200人に届かず、日本プライマリ・ケア連合学会による家庭医療専門医の養成実績も下回っているのが実情だ。その理由を草場氏は「総合診療専門医制度が不安定で、専門医を取得した後のキャリアパスが不明瞭なことにある」と分析。日本専門医機構のサブスペシャルティの議論も進まない中、新専門医制度におけるサブスペシャルティ専門医の運用が定まるまでは、あくまで学会認定の専門医として若手医師の養成を行う方針を掲げた。

 提示されたのは、「新・家庭医療専門医」、「病院総合診療専門医」、「在宅・緩和などの他の専門医」の3種類の専門医資格。

 「新・家庭医療専門医」は、「都市部や地域部にかかわらず、プライマリ・ケア診療、組織管理、地域に根差した学術活動の基盤を備え、地域におけるプライマリ・ケアのリーダーシップを発揮できる人材」と定義。旧来の家庭医療専門医は、現在の日本専門医機構による総合診療医に相当するものだったが、今回示した新専門医は地域プライマリ・ケアのリーダーとして育成していくことを重視する。研修期間や経験目標、修了基準などは、カナダや中国などで実績のある、世界家庭医機構(WONCA)の国際認証を受けることを視野に入れて、世界標準の質保証を目指す。

 「病院総合診療専門医」は、日本病院総合診療医学会と連携して制度を構築していく。病院で高い総合診療能力を発揮する医師の養成を想定し、病院医療における外来、病棟、救急での幅広い診療能力、他の診療科やコメディカルと連携しながら総合診療病棟を管理・運営する能力、退院支援や地域連携を担う能力、診療の質改善、教育、研究を推進する能力の獲得を求める。これまでも日本病院総合診療医学会と試行事業として行ってきたが、個人ではなく、研修の場としての病院の認定にとどまっていた。ただ、現時点では日本病院総合診療医学会と資格の設立については合意しているものの、具体的な議論は行われていないという。

 その他、プライマリ・ケアと関連の深い在宅領域、緩和ケア領域などについても専門医としての選択肢を設ける方針を示した。該当する専門学会と連携し、教育効果の高いシームレスな教育プログラムにより、学び成長し続けられるキャリアパスを構築。さらに、領域によって能力認証制度を設けることも検討している。他の領域についても必要に応じて専門医資格の設置を進めるが、資格制度までは構築できない場合にも「Special Interest」「Diploma」などの認証制度を検討する。

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