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学会トピック◎第22回日本心不全学会学術集会
末期心不全へのモルヒネ、至適投与方法の検討が必要

2018/10/29
三和護=編集委員

 末期心不全患者へのモルヒネ系製剤の使用は十分に行われているとは言えず、開始時期も定まっていない――。末期心不全緩和ケアの実態を調査したところ、モルヒネ系製剤の使用で至適投与法の検討が必要であることが明らかになった。神戸市立医療センター中央市民病院の仲村直子氏らが、第22回日本心不全学会学術集会(10月11~13日、東京)で報告した。

 仲村氏らが行ったのは後ろ向き調査研究で、対象は同センターで、2011年7月から2018年3月までに心不全増悪でモルヒネ系製剤を投与した患者46人。男性が27人で、平均年齢は81.2±8.1歳だった。

 診療録から患者の基本情報、モルヒネ系製剤の使用期間、症状などのデータを収集し分析した。その結果、モルヒネ系製剤の使用例は、2011年度以降、2014年度までは2~5例で推移していたが、2015年度に8例、2016年度には15例と急増。2017年度も12例と多かった。心不全死亡患者におけるモルヒネ系製剤の使用割合は、5~22%と年度によって幅があった。

 モルヒネ系製剤を投与した患者の特徴を調べたところ、基礎疾患は、虚血が46%と多く、心筋症が24%、弁膜症が20%で続いた。在院日数は35.0±23.7日、入院回数は6.3±6.8回、心不全による入院回数は2.8±3.0回、平均EFは38.6±16.0%などだった。

 終末期の症状は、呼吸困難感が78.3%、全身倦怠感も73.9%と多かった。このほかでは、食思低下、嘔気・嘔吐、痛み、不眠、せん妄などが20~26%に見られた。咳は6.5%にとどまっていた。

 終末期の治療を見ると、強心薬点滴が82.6%で行われており、非侵襲的換気法(NIV)療法が34.8%、プレデックス/ディプリバンが21.7%、セレネースが17.4%、胸水/腹水穿刺が13.0%などだった。

 モルヒネ系製剤の使用状況については、以下のような実態が明らかになった。

 入院からモルヒネ系製剤開始までの期間は平均28.2日、モルヒネ系製剤開始から死亡までの期間は平均5.6±5.8日、モルヒネ系製剤の使用期間は10日以上と1日以内がそれぞれ20.5%、食思低下からモルヒネ系製剤開始までの期間は1.7±4.3日、尿量低下からモルヒネ系製剤開始間の期間は3.9±4.8日、などだった。

 患者・家族からのモルヒネ系製剤開始の希望があったのは、8例で17.4%。また、モルヒネ系製剤開始時の投与量は7.9±6.1mg/日、最終投与量は14.7±15.1mg/日だった。

 演者らは今回の調査を基に、末期心不全患者の多くが呼吸困難感と全身倦怠感を訴えていたが、その他にも多様な症状を呈しており、症状緩和のためには様々な介入が必要であると指摘。また、心不全死亡患者におけるモルヒネ系製剤の使用割合は、5~22%と年度によって幅があったことから、モルヒネ系製剤の投与は十分になされていない可能性があるとした。さらに、食思低下や尿量低下からモルヒネ開始までの期間にばらつきが見られたことなどから、開始基準も定まっていないと考察。こうした実態を踏まえ、今後、至適な投与方法の検討が必要とまとめた。

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