日経メディカルのロゴ画像

鹿児島県慢性期病院で医師の地位確認請求事件
医師の不当解雇、病院が2500万円支払いで和解

 病院の労働環境改善のために過半数代表者選挙に立候補し、代表就任後2カ月で解雇された医師が地位確認などを求めていた裁判は8月7日、鹿児島地方裁判所で和解が成立した。医師が求めていた復職は実現しなかったものの、解雇の不当性を認めて、未払いだった給与など2500万円を病院側が支払うことで決着した。実質的に、原告医師の勝訴といえる内容だった。

 訴えていたのは、鹿児島県内の医療法人立の慢性期病院(約400床)に勤めていた50歳代の男性医師。2009年6月に同病院と常勤医として雇用契約を結び、勤務歴は8年だった。解雇時の役職は医局長で、労働基準法が定める過半数代表者だった。

 過半数代表者とは院内の従業員の代表で、労基法には「時間外労働・休日労働に関する協定(36協定)を締結する際、事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がない場合は、労働者の過半数を代表する者(過半数代表者)を選出し労働者側の締結当事者とする必要がある」と定められている。

 全国医師ユニオンと原告医師らは昨年9月、厚生労働省で記者会見し、提訴に至った経緯を語っている。

 原告医師は、従業員の選挙によって過半数代表に選出されたが、就任後約2カ月で病院から解雇された。被告病院側は、懲戒解雇の理由として8件の就業規則違反を挙げたが、原告医師はその全てを「不当と反論し得る」と主張。特に、被告病院側が指摘した就業規則違反は、全てが過半数代表者に就任する前の事案だった点を問題視していた。

 会見に臨んだ原告医師は、被告病院について「認知症や高齢者の神経難病などの診療で、現場は非常に良い医療を行っている。しかし、労働環境の面では改善点が多く、従業者の犠牲の上に成り立っていたのも事実。離職者も絶えず、労働環境を改めて、まずは離職者のない職場にしたいと思い経営者に改善策を要望してきた。しかし、このようなこと(解雇)になってしまった」などと語っていた。

 全国医師ユニオン代表の植山直人氏は、記者会見に踏み切った理由として、「一勤務医の不当解雇にとどまらず、36協定の過半数代表者のあり方、使用者のあり方を含め極めて大きな問題を含むと考える。過半数代表者が使用者によって簡単に解雇されるようでは、労働者側を代表する対等な交渉者とはなり得ず、使用者側の圧力に屈することになりかねない。使用者と労働者の合意を前提とする36協定の存在意義自体が失われかねない」などと訴えていた。

 今回の和解に関して植山氏は、日経メディカルの取材に以下のようなコメントを寄せている。

この記事を読んでいる人におすすめ