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東京医大の入試不正、複数いた加点対象者
不利益を受けた受験者に対しては追加合格も検討

記者会見に臨む東京医大幹部。右が学長職務代理の宮澤啓介氏、中央が常務理事の行岡哲男氏

 東京医科大学内部調査委員会は8月6日、当時の理事長および学長による、文部科学省幹部との間での贈収賄に関する調査報告書を取りまとめ、7日、発表した。

 これは7月4日、東京地検特捜部が、同省の佐野太科学技術・学術政策局長(当時)を受託収賄の容疑で逮捕、起訴したことを受けたもの。東京医大の臼井正彦理事長(当時)および鈴木衛学長(当時)が、同省のブランディング事業の支援対象校に選定されるべく便宜を図るように依頼し、見返りとして2018年、佐野被告の子息の受験に際して不正に点数を加算したとされていた。

 内部調査委員会は、7月5日に東京医大の理事会が設置を決めたもの。顧問契約を締結している田辺総合法律事務所が臼井前理事長や鈴木前学長をはじめとして、複数の教職員にヒヤリングを行った他、電子メールデータ、関係資料の精査などを1カ月で可能な範囲で行った。

 報告書によると、東京医大では、創立100周年の目玉としてメタボローム解析を据え、2016年度のブランディング事業の支援対象校に申請したが、不選出。改めて2017年3月に公募されたブランディング事業に対して、佐野被告の助言・指導を受けながら事業計画書を作成し、合計約4000万円の補助金の交付を受けた。

 佐野被告の子息が東京医大を受験する予定であることを把握した臼井前理事長は、助言・指導のお礼として、2018年2月に行われた一般入試の1次試験の際に、226点だった佐野被告の子息の点数に10点を加算。282位から169位へと修正した。また、2次試験の論文試験については、女性受験者および多年浪人を続けている受験者に対する一律の調整を行った結果87位となり、適性検査や面接による不合格者などが抜け、75人中74位の順位で合格となった。仮に、1次試験での加点がなかった場合は151位で、1次補欠の扱いとなっていたとみられる。

 2018年度の一般入試では、佐野被告の子息以外に5人に対して1次試験で10点から49点を加点。結果として、加点があったにもかかわらず不合格となった受験者もいる一方、補欠の繰り上げ合格者を選択する際に、より点数の高い受験者を飛び越えて繰り上げ合格とするケースもあった。2017年度の一般入試でも、1次試験では13人に加点を行った可能性があることが確認されている。合格の際には大学への寄付金の納入を求めている他、臼井前理事長や鈴木前学長が個人的に謝礼を受け取るケースもあったという。

 また、少なくとも2006年以降、現役と浪人、男性と女性とで得点調整が行われていたことも明らかになった。2018年度の入試では、2次試験の論文の点数を一律に8掛けした後、現役および2浪までの男性の受験生には20点、3浪の男性の受験生には10点を加点していた。その他、推薦入試でも得点調整が行われていた疑いがあるとした。

 これらを受けて報告書では、今回の贈収賄に関連して、「補助金については、速やかに自主返還するのが相当」と指摘。佐野被告の子息の処分については「子息本人が不正行為を行ったとは評価できないため、慎重な検討が必要」とし、「刑事手続において賄賂は没収の対象となりうることを重視すれば、自主退学を勧めるという選択肢もあり得る」とした上で、「得点調整がなかった場合であっても合格していた可能性があることからすると、学生の地位を失わせる処分を行うことは法的に難しい」とした。

 臼井前理事長、鈴木前学長の退職金については、「東京医大に著しい損害を与えた場合に役員退職金の減額又は不支給とする規定は存在せず、減額又は不支給とすることは法的には難しい」とした上で、「自主的に退職金の受給を辞退するよう説得すべきであり、万が一、両名がこれを受け入れない場合には、将来的な紛争のリスクを踏まえて減額又は不支給の対応をとるか否かを検討すべきではないかと考えられる」としている。

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