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学会トピック◎日本病院学会2018
病院で火災発生!「そのとき多くの部署が『誤報』と勘違いした」

関西労災病院の平井三重子氏は、「日ごろからの訓練が大切で、病院全体の消防訓練だけでなく、部署ごとの訓練も適切に組み合わせる必要がある」と訴えた。

 6月28日、29日に石川県金沢市で開催された第68回日本病院学会では「病院における自主防災管理の実際」をテーマにしたシンポジウムが開催された(シンポジウム前半の様子はこちら)。関西労災病院(兵庫県尼崎市)看護部長の平井三重子氏は、自院で2017年に発生した病院火災を振り返り、「火災報知器によるアナウンスがあった際、多くの部署が『誤報』と勘違いしたことが後に判明した」と報告。「10階と2階の患者を避難させるのでは状況が全く違う。日ごろからの訓練が大切で、病院全体の消防訓練だけでなく、部署ごとの訓練も適切に組み合わせる必要がある」と訴えた。

 関西労災病院は、およそ10年おきに大災害に対応してきた経験を持つ。1995年の阪神・淡路大震災、2005年にはJR福知山線脱線事故、2017年には病院火災、2018年には大阪府北部地震だ。

 同病院で火災が発生したのは2017年8月22日の17時28分だった。天井のクーラーから煙が発生し、火災報知機が発報した。10階の病棟で出火を確認した看護師が初期消火を開始。同時に避難誘導を開始した。

 「避難誘導の仕方が明確でなく、下へ下へと、10階から垂直移動する人が多かった」と平井氏は振り返る。3分後には消防庁から逆信があり、4分後には消防隊が到着。20分後には鎮火に至った。

 火災発生時、10階病棟には47人の患者がいた。垂直移動した人が27人、ベッドで他病棟へ移動したのは6人、同じ10階の南側リハビリ室に水平避難したのは12人、その他(外出中、外来で処置中)が2人。1階エントランスの救護所には598人中158人が集合した。その後、患者4人と職員3人が体調不良を訴えたが、大きな物的被害はなかったという。

 平井氏は今回の経験を踏まえ、(1)排煙設備や防煙壁など、院内の消防用設備の確認が必要であること、(2)延焼拡大を遅延させるために火災区画を形成して避難時間を確保すること、(3)水平避難や籠城避難という避難方法の訓練を含め、職員に対して教育を行うことーーが必要と考えた。

 現在、既存の「院内災害対策マニュアル」を改定中だという。「実効性のあるガイドラインを策定して、職員に周知徹底していきたい」と語った。

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