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財務省「医療保険給付率の自動調整」を提案
財政審・財政制度分科会で5月の建議に向けた論点提示

 財務省は4月25日、財政制度等審議会・財政制度分科会を開催し、社会保障費の抑制策として「医療保険の給付率を自動的に調整する仕組み」を導入するよう提案した。4月11日の同分科会で議論された項目と合わせて内容を精査し、毎年5月ごろに発表される財政健全化に向けた建議に盛り込む予定だ。

 医療費は大きく分けて「患者負担」と「保険料」「税金などによる公費」の3つから賄われる。これまで財務省は患者負担の引き上げについて再三、提言してきたが、今回の仕組みは、労働人口の減少や賃金の伸びといった何らかの経済・人口指標に基づいて先に保険料と公費からなる給付率を自動的に定めてしまうもの。それに従って残りの患者負担も決まるため、この制度が導入されれば、経済状況に応じて給付と患者負担のバランスが自動的に決定されることになる。

 労働人口の急激な減少に加えて、高齢化や医療の高度化により医療費が増加したことから、2008年に83.0%だった医療保険の実効給付率は2015年に84.8%に上昇している。裏を返せば、患者負担率は17.0%(2008年)から15.2%(2015年)まで下がっている。

 仮に今後、経済成長が進まずに医療費がさらに高騰した場合、患者負担を引き上げるか、保険料、税金による給付を引き上げるかの二択となる。しかし患者負担の引き上げには政治的判断を伴うため、現在の仕組みでは、保険料、税金による給付を引き上げざるを得ないケースが出てくる。そこで財務省は、経済・人口指標に沿ってある程度機械的に患者負担と給付率を決定する仕組みを導入することで、医療保険制度の持続可能性が高まるとしている。

 給付率を調整する仕組みの具体的な内容については、今回の議論では踏み込まなかった。経済指標に沿って給付率を決める仕組みとしては、賃金や物価の上昇率に応じて年金額の改定率を自動的に決める「マクロ経済スライド」が挙げられるが、年金と医療保険とは制度が大きく異なるため、ほぼゼロベースから議論を行う必要がありそうだ。

 財政制度分科会では4月11日と25日の2回にわたって(1)保険給付範囲の見直し、(2)公定価格と提供体制のあり方、(3)給付と負担のバランス──の3つの視点からなる社会保障費抑制策を提案し、今回は(3)について議論を行った(4月11日に行われた(1)と(2)の議論についてはこちら)。

 4月25日の分科会で「医療保険給付率の自動調整」も含めて財務省が提言した改革案は下表の通り。

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