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AMED研究班、末期腎不全の代替エンドポイント発表
2~3年間でのeGFRの30~40%低下が指標に
かかりつけ医から腎臓専門医・糖尿病専門医への紹介基準も公開

研究班長として検討結果を発表する東京大の南学正臣氏

 日本人における末期腎不全ESRD)の代替エンドポイントとして、欧米と同様な推算糸球体濾過量eGFR)の低下率(2~3年間における30~40%の低下)の採用が決まった。日本腎臓学会と日本医療研究開発機構(AMED)「腎領域における慢性疾患に関する臨床評価ガイドラインの策定に関する研究」班の主催により2月25日に開催された公開セミナー「腎臓病克服への挑戦―腎臓病薬開発加速基盤としての臨床評価ガイドライン」で、同研究班長の南学正臣氏(東京大学腎臓・内分泌内科教授)が発表した。

 ESRDは透析導入または腎移植がエンドポイントとなるが、その追跡には長期間かつ大規模な集団が必要となる。そこで血清クレアチニン値の2倍化が代替エンドポイントとして使われてきたが、臨床試験の迅速化のため、より短期間で評価できる新たな指標が求められていた。これに対して米国腎臓財団(NKF)と米食品医薬品局(FDA)は2014年、「eGFRの30~40%の低下」を提唱した。しかし、検討対象とした集団にはアジア人が0.5%しか含まれておらず、日本人でも同様な指標を使うことができるか不明だった。

 南学氏らの研究班は、日本人の慢性腎臓病(CKD)患者のコホートであるCKD-JAC(関連記事)や沖縄健常人健康診断コホート、日本人糖尿病性腎臓病患者のコホートORIENTを解析するとともに、論文のシステマティックレビューも実施。昨年2月にガイドライン素案を公表し(関連記事)、関係学会での議論やパブリックコメントを踏まえて、今回の最終版を発表した。

 具体的には、「2年間ないし3年間におけるeGFRの30%ないし40%の低下」が代替エンドポイントになるとしている。観察期間とeGFR変化率のカットオフ値に幅があるのは、対象とする集団のCKDのステージや原疾患、被験薬などによって適切な値が異なるためだ。

 例えば薬剤による介入研究では、介入直後に一次的なeGFRの低下を来すものがあることから、治療開始後一定の期間を経てからeGFR低下の評価を始めたり、eGFRの低下率を40%とするなど、研究デザインやカットオフ値の設定に注意が必要とされた。

 また、非CKDやCKDステージ1、2を対象としたより早期の観察研究では、長期間の追跡によってeGFRの低下が代替指標となる可能性が示唆されたものの、エビデンスが限られることから具体的な追跡期間やカットオフ値は設定せず、今後の検討課題とした。ガイドラインは、出版後に日本腎臓学会のウェブサイトでも公開するという。

 なお、セミナーでは最後に、日本腎臓学会から「かかりつけ医から腎臓専門医・専門医療機関への紹介基準」(図1)が、日本糖尿病学会から「かかりつけ医から糖尿病専門医・専門医療機関への紹介基準」(図2)が発表された。

 「腎臓専門医・専門医療機関への紹介基準」では、尿蛋白(アルブミン尿)が正常の場合、患者が40歳未満であればeGFRが60mL/分/1.73m2を切った時点で専門医への紹介を推奨した。GFRは加齢とともに低下することから、若年から低値であればより早い時点での精査が必要との考え方による。また微量アルブミン尿がある場合、eGFRが60mL/分/1.73m2以上であっても血尿が見られれば、糖尿病性腎臓病以外の腎疾患が存在する可能性があるため専門医への紹介を推奨した。

 これらの紹介基準は両学会と日本医師会が連携して作成したもので、どちらも日本医師会雑誌の2018年3月号に同封される。日本腎臓学会理事長の柏原直樹氏(川崎医科大学腎臓・高血圧内科学教授)によれば、「今後、糖尿病と腎臓の専門医間での紹介基準も作る予定」とのことだ。

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