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学会トピック◎第45回救急医学会総会・学術総会
「バックボードツリー」で重症外傷やECMO患者の搬送時間を短縮

 多くの医療機器やモニターを装着した救急集中治療患者の病院間・病院内搬送を迅速に行うために、千葉大学大学院医学研究院救急集中治療医学の松村洋輔氏は、救急隊が使用する患者搬送用のバックボードを用いて、多くの医療機器類をひとまとめにして装着できるツール「バックボードツリー(BBT)」を開発。大阪で開催された第45回救急医学会総会・学術集会(10月24~26日)の「私の工夫 私の発見、私の発明」のセッションで紹介した。

 重症患者がER室やICU以外に長時間滞在することは、それ自体がリスクとなり得る。しかし、医療機器やモニターなどが多く装着されている重症患者では、機器類の移動に手間取ることが多く、移動に時間が掛かる。

 松村氏が開発したBBTは、生体情報モニター、人工呼吸器、胸腔ドレーンバッグ、シリンジポンプ、輸液・輸血バッグ、急速輸血加温器、尿道カテーテルバッグなど、重症患者に装着されているあらゆる機器類を掛けられる架台を、救急隊が外傷患者の全身固定に使用するバックボードに固定できるようにしたもの。バックボードと機器類がワンユニットとなり、バックボードごと患者と機器類を同時に移乗させられるため、より迅速で安全に患者を移動させることができる。

 救急隊が外傷患者の全身固定に使用するバックボードを使用したのは、汎用されていることに加え、軽量であること、さらに放射線透過性があることが理由。「重症救急患者では、CT撮影が必要となることが多いが、患者を載せたまま、CTや血管造影も可能。CT撮影前後の時間を短縮できる」(松村氏)。

 実際に、バックボードツリーを用いて人工呼吸器を装着する重症患者のCT撮影前後の時間を計測したところ、CT室に入ってから、患者をCT装置に移乗させて撮影を開始するまでの時間は従来の約5分から約3分へ、撮影が終了してからCT室を出るまでの時間は約4分から約2分へと、いずれも2分程度短縮できたという。

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