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アジア大洋州医師会連合(CMAAO)総会で意見まとまる
積極的安楽死や医師による自殺幇助に反対で合意

都内で開催されたアジア大洋州医師会連合(CMAAO)

 アジア大洋州医師会連合(CMAAO)は、2017年9月13~15日に都内で開催された東京総会において、「積極的安楽死や医師による自殺幇助に反対」との見解を取りまとめた。CMAAO東京総会では「終末期医療」をテーマに各国の現状が報告され、最終日の全体討論で意見の集約が行われた。

 CMAAOとは、世界医師会の地域医師会連合の1つで、日本、韓国、インド、インドネシア、オーストラリア、シンガポールなどアジア・太平洋地域の18カ国(一部地域)の医師会が加盟する。

 現在、スイスやオランダ、デンマーク、ベルギー、ルクセンブルク、米国オハイオ州などの一部の州において、積極的安楽死や医師による自殺幇助が合法とされている。それらの国の医師会から、終末期医療に対して世界医師会の考えを示してほしいという要望が出されたことを受け、世界医師会は地域医師会連合に各国医師会の意見の集約を要請。これを受けて、CMAAO東京総会で終末期医療に関する議論が行われた。

 世界医師会は、来年開催される総会において、終末期医療、特に安楽死や医師による自殺幇助について、地域医師会連合のそれぞれの意見を参考にしながら、世界医師会としての見解を表明することを計画している。

 今回の議論では、積極的安楽死や医師による自殺幇助に関して、法案の審議が予定されているオーストラリア・ビクトリア州の現状が報告されたが、それ以外の加盟国の医師会の代表者からは、患者から安楽死や医師による自殺幇助を求める声はほとんどないことが報告された。また、ニュージーランドにおいても法案が国会に提出されたものの否決に至っているという。

 全体討論ではそれらの意見を集約し、「家族や親戚、地域社会とのつながりが欧米に比べて強いアジア諸国においては、最後まで生きたいという患者の思いが強く、安楽死や自殺幇助は選択肢にすら上がっていない」という結論となった。また、各国医師会からは、安楽死や医師による自殺幇助には反対であるとの姿勢も示された。

 医師による自殺幇助とは、医師が致死量の薬物を処方することを指し、その薬物を服用するかどうかは患者本人に委ねられる。日本やアジアでは、そのような処方を要望する患者はあまり存在しないようだが、欧米では市民が「死ぬ権利」を主張し、医師にその幇助を要望する声は少なくないのだという。

 今回の日本総会でCMAAO会長に就任し、次期世界医師会会長でもある日本医師会長の横倉義武氏は「積極的安楽死や医師による自殺幇助とは、命を終わらせることを医師に要望するもの。これは、医師がこれまで尽力してきた医療と180度異なる行為となる。世界医師会としては、このような法律を合法化する国が増えていることに危機感を持っている」と説明する。

 全体討論では、「積極的安楽死や医師による自殺幇助を患者が要望した場合、なんと答えたらよいだろうか」というテーマでも各国の意見が求められた。参加者からは、「患者が死にたいと思う背景を知るため、『なぜ、そう言うのか』と逆に患者に問いかけることの重要性が指摘され、各国の賛同を得ていた。

緩和ケアや事前指示書、ACPの充実でも合意
 最終討論では、緩和ケアや事前指示書(advance directive)やアドバンス・ケア・プランニング(ACP)についても話し合われた。

 緩和ケアについては、その充実が終末期患者に生きる希望を与え、積極的安楽死や医師による自殺幇助の代わりになるとの意見が多数出され、緩和ケアのさらなる推進の必要性も確認された。

 患者による事前指示書(advance directive)やアドバンス・ケア・プランニング(ACP)を支持することも合意された。各国医師会の発表では、事前指示書やACPに関する法律が整備されている国は加盟国の半分程度であったが、患者の希望を叶え、尊厳ある死を迎えさせるためにも、終末期患者の要望を事前に確認し、その意思を尊重することの大切さが強調された。

台湾、韓国では延命治療の中止を認める法律が制定
 台湾医師会を代表して発表した国立台湾大学病院のShao-Yi Cheng氏は、「恐らくアジアで初めてとなる『Patient Autonomy法』が、台湾では来年施行され、終末期患者が治療を選択する権利が保障されるようになる」と話した。同法は、患者が昏睡状態などで意思表示できなくなった場合でも、事前指示書に示した治療選択を受けることを保障するものだという。

 台湾では、同法に先立ち、「Natural Death法」も2000年に制定されている。その後、何度かの改定を経て、患者の尊厳ある死を保障するため、患者の事前意思に基づいて医師が人工呼吸器などの延命治療を差し控えたり、中止できることが合法化されている。

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