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耳鼻咽喉科学会、ムンプスワクチンの早期定期接種化を訴え
ムンプス難聴は2年で300例以上、初の全国調査

 日本耳鼻咽喉科学会(理事長:森山寛氏・東京慈恵医科大学)は9月5日、都内で記者会見を開き、ムンプス難聴の大規模調査の結果を公表した。2015年からの2年間で、ムンプス難聴と診断された患者は、全国の耳鼻咽喉科医療機関3536施設から336人が報告された。このうち9割以上に上る303人に、後遺症があることも明らかとなった。この結果を受けて同学会は、ワクチンで防げる病気であるとし、ムンプスワクチンの早期定期接種化を国に働き掛けていく方針だ。

 ムンプス難聴は、流行性耳下腺炎(ムンプス、おたふくかぜ)の合併症として発症する。多くは、ムンプスワクチンの接種により予防が可能となる。しかし、ムンプスワクチンは現在、任意接種のためワクチン接種率は30~40%と低く、これが近年の流行を招いていると指摘されてきた。

 流行に伴いムンプス難聴の合併例も目立ってきたことから、日本耳鼻咽喉科学会は、ムンプス難聴患者の発生数や症状の程度などを明らかにする必要があるとし、同学会として初の全国調査を行った。調査期間は2015年1月から2016年12月の2年間。全国の耳鼻咽喉科医療機関5565施設を対象に調査表を配布し、3536施設から回答を得た。その結果、336人がムンプス難聴と診断されていた。

 さらに、336人のムンプス難聴患者について追跡調査を行い、めまい、唾液腺腫脹、頭痛、耳鳴などの合併症の有無、難聴に対する治療の内容、最終的な聴力、さらに補聴器や人工内耳などの必要性について明らかにした。その結果、追跡調査では、ムンプス難聴の314人について回答が寄せられた。後遺症の詳細を見ると、一側難聴者が300人、両側難聴者が14人で、83%に当たる261人に高度以上の難聴を認めた。

 高度難聴者は、70~90dBの音、例えばピアノの音(80dB程度)が聞こえない。つまり、ムンプス難聴発症者の多くは日常生活に支障をきたすレベルの難聴を抱えていることになる。

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