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全国医師ユニオンほか3団体共同で声明
医師の働き方改革「月100時間未満」に異議あり

会見の様子。左から東京過労死を考える家族の会代表の中原のり子氏、過労死弁護団全国連絡会議幹事長の川人博氏、全国医師ユニオン代表の植山直人氏。

 全国医師ユニオンと東京過労死を考える家族の会、過労死弁護団全国連絡会議の3団体は共同で、医師の働き方改革に関する声明を9月4日に公表した。今後、厚生労働省に声明を提出する方針だ。

 当日の会見では、過労死弁護団全国連絡会議幹事長の川人博氏が声明の内容を説明。政府の進める働き方改革の問題点として、(1)「単月では、休日労働を含んで100時間未満」という時間外労働の上限設定(関連記事)は、厚生労働省が定める「過労死ライン」(月80時間の時間外労働)を容認することになり、労働時間の短縮に努力する使用者の取り組みに逆行する、(2)医師の深刻な過重労働が社会問題となっているにもかかわらず、5年にわたって医師を規制対象から外すのは医師の命と健康に深刻な影響を与え、医療事故の原因にもなる――の2点を挙げた。

 その上で、(1)使用者が医師の労働時間管理を適正に行うこと、(2)研修医に対する適正な処遇を行うこと、(3)「過労死ライン」を超える長時間労働を速やかに改善すること、(4)医師の健康管理を厳格に行うこと――の4点については早急に対策を講じるよう求めた。

 全国医師ユニオンの代表を務める植山直人氏(行田協立診療所所長)は、「今後、医師の働き方改革については2年間検討し、5年間猶予するということになっており、7年の間にどれほどの過労死が発生するかと危惧している。OECDのデータを見ると日本の医師は長時間労働をしていることが分かる。応招義務を理由に挙げて議論されているようだが、その根底には医師不足があることを理解してほしい。今後医師の労働時間が減少すれば、医師数が足りない、当直が組めない、地域医療が崩壊する――、ということが起きるかもしれないが、だからといって過重労働を放置してよいことにはならない。交代制勤務を導入することで、医師の過重労働がなくなるようにしないとならない」と指摘。交代制勤務を導入するためにも、必要医師数を算出する必要があると話した。

 小児科医である夫を自死で失った東京過労死を考える家族の会代表の中原のり子氏は、「特に研修医の場合、研鑽という名の下に月160時間ほど勤務しているケースもあるようだが、過労死ラインをはるかに超えており、非常識である。この原因が応招義務にあるのならば、チームや病院としてその責任を負うべきであって、個人で負うべきものではない」と訴えた。

 川人氏は、「過去に労災認定された医師について、その年齢や性別、所属科などについて詳細を明らかにして分析する必要がある。特に、後期研修医への労働負担が高まっている。前期研修医は担当科が変わり続けるのに対し、後期研修医はある部門について専門的に経験することになるほか、ある程度の臨床経験もあり、その病院に数年いるということで病院側としても労働力として酷使しやすい条件にある」と指摘した。

 3団体が共同で示した声明内容の詳細は以下のとおり。

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