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厚労省ビジョン検討会が「医師10万人調査」の結果を発表
20代医師の6割が地方勤務の意思「あり」

4月6日に厚生労働省で開かれた会見で話す東京大学の渋谷健司氏(右)

 厚生労働省は4月6日、医師の働き方や将来のキャリア選択について尋ねた「医師の勤務実態及び働き方の意向等に関する調査」(通称:医師10万人調査)の結果を公表した。(1)回答者の44%が地方勤務に意欲を示しており、その傾向は若い医師ほど高い、(2)当直・オンコールの待機時間を除いても「週60時間以上」勤務している常勤医師は男性27.7%、女性17.3%で、特に若い医師ほど過重労働になっている――といった実態が明らかになった。

 調査結果は、「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」(座長:東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学教室教授・渋谷健司氏)が同日取りまとめた医療従事者の働き方に関する報告書に反映された。今後、「医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会」などで医師の需給や偏在対策を議論する際のたたき台にもなる見込みだ。

 4月6日に会見を行った渋谷氏は、「医療提供体制を策定する上では、まずは現場で働く医師の声を聞くことが重要だ。これまで、若い医師は都市部に集中する傾向があると考えられてきたが、今回の調査では、6割もの若い医師が地方で働いてもよいと考えていることが分かった。医師の地域偏在対策を考える上で非常にインパクトのある結果だと思う」と話す。

 調査は、2016年12月8日~14日に全国の医療施設に勤務する医師を対象に実施。約10万人の医師に調査票を配布し、1万5677人(男性74.6%、女性22.7%)から回答を得た(回収率は約16%)。調査内容は、(1)医師の属性に関する項目、(2)医師の勤務実態を詳細に把握するためのタイムスタディに関する項目、(3)他職種との役割分担やキャリア意識などの将来の働き方に関する項目、(4)将来の勤務地に関する意向などの医師偏在対策に関する項目――の4項目。

障壁は「労働環境への不安」「したい仕事ができない」
 医師の地域偏在を是正するため、地方(東京23区および政令指定都市、県庁所在地などの都市部以外)に勤務する意思について調査した。これまで、医師の地域偏在対策というと、若手医師が都市部に集中しないよう、初期臨床研修制度で各病院や都道府県に定員の上限を設けるなど、ある程度強制力のある方法で偏在を是正しようとしてきたが、今回の結果から一定期間地方で働いてもよいと考える医師が少なくないことが明らかになった。

 回答者全体のうち44%が、「今後、地方で勤務する意思がある」と回答。若い医師ほど「地方勤務の意思あり」の割合は多く、20歳代では60%に上った。「意思あり」と回答した医師に、地方勤務を希望する期間について尋ねると、20歳代の若い医師では2~4年が多く、30歳代、40歳代、50歳代では10年以上の長期間勤務を希望する割合が高かった(図)。一方で、半年や1年の短期間勤務を希望する医師は少なかった。

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