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第3回日経アジア感染症会議でステートメント発表
官民連携で途上国の感染症対策支援を

第3回日経アジア感染症会議の様子

 日本経済新聞社と日経BPは2016年4月22日から23日にかけて、都内で第3回日経アジア感染症会議を開催した。同会議では官民が協力して感染症対策を進める必要性を確認するとともに、日本発の医薬品やワクチン、診断法などを開発途上国の感染症対策に役立てるための方策について検討し、ステートメントに合意した。

 同会議には、感染症対策に関係する行政機関、国際機関、民間企業、研究機関や医療機関の専門家などが産官学の垣根を越えて集まり、2日間に渡って議論した。日本だけでなくアフガニスタンやベトナム、フィリピンなど10カ国以上から感染症対策のキーパーソンが参加し、結核やエボラウイルス感染症、マラリアなどの感染症の現状と課題が報告されるとともに、それらの感染症に対して開発されている日本発のイノベーションが紹介された。議長は名誉世界保健機関(WHO)西太平洋地域事務局長で地域医療機能推進機構の尾身茂理事長、副議長はWHO健康安全流行感染症部の進藤奈邦子メディカルオフィサーが務めた。

 結核をテーマとしたパネルディスカッションでは、日本発の技術として、大塚製薬の抗結核薬で多剤耐性結核にも効果がある「ディルディバ」(一般名デラマニド)、栄研化学が開発した結核の検査法である「TB-LAMP」、多剤耐性結核の検査法であるニプロの「ジェノスカラー」が紹介された。これらの日本発の技術は、第2回日経アジア感染症会議のステートメントを受けて発足したアジア医療イノベーションコンソーシアム(AMIC)結核部会を通じて、パッケージとしてアジアの複数の官民協力プロジェクトに提供されている。同パネルディスカッションでは、アジア各国の参加者から官民協力プロジェクトなどの進捗状況も報告された。また、今後の課題として、「有用性はすばらしいが、それが十分伝わっていない」「企業側がコスト削減の努力を行う必要がある」といった意見が出された。

 エボラウイルス感染症をテーマとしたパネルディスカッションでは、富山化学工業が抗インフルエンザ薬として開発し、エボラウイルス感染症にも効果が期待されるファビピラビルや、東芝メディカルと長崎大学が共同開発したエボラ出血熱迅速検査キットである「RT-LAMP」などについて紹介された。ファビピラビルについてはギニアで臨床試験が実施されたことが報告され、ギニアに提供されたRT-LAMPに関しては、現地で診断を行うための人材育成プログラムが実施されたことなどが説明された。討議では「今後、ファビピラビルについてさらに臨床試験を実施することが求められる」「国内外の関係機関にこれまでの臨床試験の結果を情報提供し、WHOの治療ガイドラインへの収載や治療薬や診断薬の備蓄に向けて働きかけることが重要だ」といった指摘が出た。

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