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第1回専門医養成の在り方に関する専門委員会が開催
不十分な地域・診療科偏在対策に異論噴出

 厚生労働省は3月25日、2017年4月に開始予定の新専門医制度について議論する目的で、第1回専門医養成の在り方に関する専門委員会(委員長:永井良三氏[自治医科大学学長、社会保障審議会医療部会部会長])を開催し、日本専門医機構理事長の池田康夫氏らが専門研修プログラム認定までの調整方針や、外科、整形外科、産婦人科領域における専門研修プログラムの審査状況を説明した。

 同委員会は2月18日に開催された社会保障審議会医療部会で、「今のままの進め方では医師の地域偏在を助長させる」「来年4月の開始は延期すべき」などの指摘が相次いだことを受けて急遽設置されたもの。新専門医制度の準備を検証し、必要に応じて改善要望をするための委員会で、専門医機構の体制や研修プログラム審査状況の確認などを行う。

 厚労省医政局長の神田裕二氏は「医師のプロフェッショナルオートノミーを尊重し、行政はあまり出過ぎないようにと認識していた」と冒頭でコメント。しかし、医療法上の広告制度にも関わること、そして厚労省の予算が計上されていることからも、「民間の自律的な仕組みとは異なると考えている」と説明。「調整の労は取る」とは言いつつも、「関係者の間でコンセンサスを作ってもらうことが最も重要」と述べた。

 委員会では冒頭のあいさつに続き、かねてから予定されていた2017年4月の開始時期を踏まえ、日本専門医機構、自治体、厚労省がそれぞれ取り組むべき内容を厚労省が整理し、報告。専門医機構が都道府県に情報を提供し、各地域ごとの地域連絡協議会で地域医療への影響を検討。その議論を踏まえて専攻医の地域偏在が生じないように専攻医の定員数や研修プログラムの調整を進める方針であることを示した。

 また、大まかな流れとして、4月中には地域医療提供体制を考慮しながら診療領域ごとにプログラム内容の審査を行い、5月中には全国レベルで診療領域ごとの専攻医数を調整、6月中には都道府県から示された改善必要事項を踏まえてプログラムを調整することを提案した。

 2017年度に開始するには、今年6~7月ごろまでに研修プログラムの審査を終える必要がある。その時点までに専門委員会や社会保障審議会医療部会で各委員の合意が得られるかが制度開始時期を延期するかどうかを決めるカギとなる。

 地域連絡協議会での調整のポイントを専門医機構は4つ挙げる。(1)大病院のみ・特定の医療グループだけで構成されるプログラムの是正、(2)必要な地域医療の研修が含まれるようにする、(3)過去5年間に研修実績のある医療機関が連携施設に入るように調整、(4)診療領域ごとに研修施設のない二次医療圏がでないようにする――。

 そして、全国レベルの調整のポイントとなるのは以下の4点。(1)全国の専攻医募集数が過去実績値の1.2倍以下にする、(2)都道府県ごとの専攻医数について都市部は現状を上限にする、(3)人口に比して専攻医養成数が少なすぎる都道府県には基幹施設の追加や、プログラム整備基準の見直し、1施設の最低研修期間設定の改訂などの調整をする、(4)診療領域ごとに地域別の専攻医数が過去3年間の平均から激変しないように調整する――。

 これらの調整後、専門医機構は都道府県からの改善必要事項を踏まえて、都道府県と連携してプログラムを最終調整し、厚労省への報告後にプログラムを認定することとした。

 しかし、協議会では制度の実効性を疑問視する声が挙がった。地域での議論の場となる地域連絡協議会の設置・検討状況は都道府県により差があることを懸念した日本医師会副会長の今村聡氏からは「情報共有、地域連携を図ると言うのは簡単だが、制度的にどう担保するのか。どの程度の権限をもつかを明確にすべき」と指摘。厚労省側が「協議会が未設置な都道府県も今後、設置することは確認している」と答えたが、今村氏は「箱だけ設置したとしても機能しなければ意味はない。機能しなければ地域医療に影響を与える可能性がある。そうしたときに誰がどう責任を取るのか」と懸念を示した。

 厚労省は、「我々にも強制力はない」と答えつつも、都道府県や協議会での調整には間に入りながら調整を進めると説明。都道府県に対し、専門医制度に関する地域連絡協議会の設置を改めて依頼し、その周知徹底を図るための通知を近いうちに再度出す方針を決めた。

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