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榊原記念病院が先進医療として僧帽弁膜症の60代患者に
世界初、自己組織を用いた僧帽弁置換術に成功

榊原記念病院の加瀬川均氏(左)と早稲田大学の梅津光生氏

 榊原記念病院(東京都府中市)は3月2日に院内で記者会見を行い、世界初となる自己組織を利用した僧帽弁手術自己心膜製ステントレス僧帽弁置換術)の先進医療を開始し、1月27日にその1例目となる手術を60歳代の僧帽弁膜症患者に実施したことを明らかにした。

 従来、僧帽弁が傷み過ぎて弁形成術が困難な僧帽弁膜症に対しては機械弁や生体弁による人工弁置換術が標準治療として行われてきた。しかし、人工弁置換術は人工弁感染などの合併症リスクがあるほか、機械弁の場合は術後生涯にわたるワルファリンの服用、生体弁の場合は石灰化による再手術などの問題があった。

 今回、同病院が始めた新しい手術は、機能不全に陥った僧帽弁を全て自己の心嚢膜で置き換えるという方法。従来の弁形成術でも自己の心嚢膜を術中に採取して使うことはあるが、この新手法は術中に採取した自己の心嚢膜を用いて体外で生体弁を作成し、これを植え込むという世界に類を見ない僧帽弁手術法だ。

 同病院心臓血管外科前主任部長(現・先進医療研究室長、早稲田大学客員教授)の加瀬川均氏が、早稲田大学先端生命医科学センター教授の梅津光生氏らと弁形成術の研究を進める中で考案した。自己心嚢膜から採取した弁は弁輪形成用リングに縫い合わせ、脚を左心室の乳頭筋と縫着してつなげる(図1)。正常な(ノーマルな)僧帽弁と似た構造となっていることから、加瀬川氏らは「ノルモ弁」と名付けている。梅津氏らが開発した循環シミュレーターで約10年にわたり評価を繰り返し、大阪大学などでの動物実験でも良好な機能が確認されたため、このほど臨床研究を開始した。

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