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Circulation誌から
過体重でも心不全リスク上昇、腹部肥満に要注意

2016/03/02
難波寛子=医師

 過体重腹部肥満であっても、心不全リスクは増大する――。心不全発症リスクと心不全による死亡リスクは、BMIが30未満の過体重でもBMI上昇と有意に関連し、ウエスト周囲径およびウエスト/ヒップ比WHR)上昇との関連も有意であることが明らかになった。ノルウェーと英国の研究者によるシステマティックレビューと用量反応に関するメタ解析の結果で、Circulation誌2月16日号に掲載された。

 肥満が心不全リスクを増大させることは広く知られており、米国心不全学会のガイドラインでもBMIは30未満を目標とすることが定められている。一方で過体重については、心不全リスクとの関連を示す報告が散見されていたものの、明確な結論が得られていなかった。

 PubmedとEmbaseを用いて本解析の対象となる研究を検索した。検索期間は2014年10月10日までとした。加えて、過去のメタ解析に示された参考文献リストも参照した。研究の質はニューキャッスル・オタワ・スケールで評価した。抄録しか得られない研究や、政府刊行物などの文献、論文発表されなかった研究は除外した。

 コホート研究およびコホート内症例対照研究で、脂肪の蓄積に関する3つの指標(BMI、ウエスト周囲径、WHR)と、心不全発症率および心不全による死亡率の関連を検討した研究を解析対象とした。言語は英語に限った。糖尿病患者や耐糖能異常者を対象とした研究は除外した。

 対象となった研究から抽出したデータは、筆頭著者名、出版年、研究が行われた国、研究期間、サンプルサイズ、参加者数、暴露変数、暴露レベル、相対リスク(RR)と95%信頼区間(CI)、解析時調整に用いられた変数である。

 ランダム効果モデルを用いて、BMIが5、ウエスト周囲径が10cm、WHRが0.1、それぞれ上昇するごとの要約RRと95%信頼区間(CI)を計算した。

 28の前向き研究を解析対象とした。うち16件が欧州、10件が米国、1件が日本、1件がオーストラリアより発表された。

 BMIと心不全発症の関連についての解析対象は23の前向き研究で、64万7388人の参加者に1万5905例を超える心不全が生じた。BMIが5上昇した場合の要約RRは1.41(95%CI:1.34-1.47、I2=83%、P heterogeneity<0.0001)だった。この結果は性別により層別化しても同様だった。最も影響の大きい研究を除外した感度解析の結果、要約RRはPhysician's Health Studyを除外した場合に最低で1.38(95%CI:1.32-1.44)、Swedish Mammography Cohortを除外した場合に最高で1.42(95%CI:1.36-1.49)だった。

 出版バイアスの存在は、Egger's test(P=0.64)、Begg's test(P=0.67)、およびfunnel plotの結果で否定的だった。BMIと心不全発症との間には非線形の相関(P nonlinearity<0.0001)が認められ、BMIが高いほどリスク増加が急峻であった。

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