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現場保全や事実経過の記録について具体的な方法を紹介
日本看護協会、医療事故調のガイドライン示す
20床以上の全国の医療機関、助産所などに配布

 日本看護協会はこのほど、今年10月に開始する医療事故調査制度のガイドライン(冊子)を公表した。同ガイドラインは28ページでまとめられており、同協会のホームページからダウンロード可能だ。

 同ガイドラインの名前は「医療に起因した予期せぬ死亡又は死産の対応」。医療機関の看護管理職を主な対象として作成されたもので、20床以上の全国の医療機関、助産所などに配布する予定だ。

 医療事故調査制度は、5月に省令・通知が発出されていた。だが、具体的な院内調査手法などは示さておらず、病院団体などが示すガイドラインやマニュアルに委ねられていた。

 日本看護協会のガイドラインは、(1)制度の概要と医療事故調査の流れ、(2)医療に起因する(疑いを含む)予期せぬ死亡または死産発生時の対応の要点、(3)医療事故調査制度を医療医に起因する(疑いを含む)予期せぬ死亡または死産の再発防止に生かす、(4)日本看護協会および都道府県看護協会の役割――などから構成されている。

 例えば、(2)の医療に起因する(疑いを含む)予期せぬ死亡または死産発生時の対応の要点では、現場保全の方法や事実経過の記録方法について、具体的な方法を紹介している。

 現場の保全方法についてはイラストを用いて解説している。例えば、遺体については医療事故発生後の治療・処置を行った状況のまま保存するため、指示があるまで行為や死後の処置は行わないこと、気管チューブ・静脈留置針・尿道カテーテル等は体に挿入されたままの状態にすること、生体情報モニターについてはアラームの履歴を確認し、印刷して記録に残すこと、薬剤のアンプル・バイアル・ボトル、薬液が残っている注射器や点滴ルートは医療事故発生時の状態で保存すること、全てのごみ類についても捨てずに保存すること――などの具体的な対応方法を示した。

 また、医療事故発生直後の関係者に対する具体的な支援策として(1)医療事故発生直後から院内事故調査終了までの工程を説明する、(2)関係者が落ち着いて過ごすことができる環境を提供する、(3)関係者の気持ちを確認し、日勤勤務者への変更や勤務部署について検討する、(4)精神的な安定が図れるまでは、帰宅後も友人や家族、同僚と過ごせるよう調整する、(5)本人の希望に応じて、事故の振り返り等により気持ちの整理ができるよう支援する――などを記載した。

 遺族への対応時の留意点についてもアドバイスしている。例えば、最初に遺族に連絡する際には細かい内容を伝達するのではなく、至急来院してもらう必要があることを第一に伝える必要があること、遺族が説明を聞いて状況を理解したとしても「どうして……」「なぜ……」という思いや怒りの感情が繰り返し起きていることを認識した上で対応することが求められていること、遺族からの問い合わせに遅滞なく対応するために専任の医療従事者を定めること――どを解説している。


「再発防止策の検討は必然」との見解示す
 厚労省が今年5月に示した通知では、院内事故調査報告書において再発防止策は「可能な限り調査の中で検討することが望ましいが、必ずしも再発防止策が得られるとは限らないことに留意すること」と記載され、必須になってはいない。今回、日本看護協会の示したガイドラインでは、「医療事故を繰り返さないためには、院内事故調査の中で再発防止策を検討することは必然」との考えを示した。

 ただし、再発防止策の策定に当たっては「実現可能で効果的な対策を多職種で検討し定めることが必要」としたほか、「特定の部署に有効な対策(全体最適)ではなく、院内全体にとって有効な対策であることが望まれる」などのアドバイスを示した。これらの再発防止策は全医療従事者が参加できるよう日時を変えて報告会を開催したり、メールするなどして周知するなども推奨している。


■関連サイト(日本看護協会)
医療に起因した予期せぬ死亡又は死産の対応

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