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学会トピック◎第55回日本呼吸器学会学術講演会
高松赤十字病院、HOTセンター設置訓練を実施
大規模災害に備え在宅酸素療法患者への対応を

 今後30年の間に、東日本大震災クラスの南海トラフ地震が起こる可能性は70%以上とされている。こうした大規模災害で停電が起きた場合、酸素濃縮器が使えなくなるため、在宅酸素療法HOT)患者は携帯用酸素ボンベを用いることとなる。しかし、その後の酸素供給は困難になることが予想される。こうした状況を想定し、高松赤十字病院は災害時のHOT患者への対応を徹底する目的で、2013年より年に1回の院内災害訓練の際にHOTセンターを立ち上げる取り組みを始めた。同病院第一呼吸器科部長の山本晃義氏が、第55回日本呼吸器学会学術講演会(4月17~19日に東京で開催)で発表した。

 災害時にHOT患者が来院した場合は通常、トリアージを行い、緑のタグが付けば帰宅可能という判断をする。だが実際には、帰宅できる状況であっても、酸素供給ができるかどうかが不安だったり、急性増悪のリスクから病院においてほしいと希望するHOT患者は多い。そうしたときに備え、災害時にHOT患者が来院した場合は外来扱いで滞在してもらえるよう、「HOTセンター」を立ち上げることを考えた。

 同病院では大規模災害時におけるHOT患者への対策・対応方法として、5つの取り組みを実施している。(1)患者リストの定期保存、(2)災害教育の実施、(3)緊急時カードの普及、(4)近隣の医療機関を含めた患者カード作成の徹底、(5)院内災害訓練だ。具体的には以下の通り。

 (1)患者リストの作成は、酸素業者に依頼。酸素ボンベを納入している患者のリストを酸素量の変更があるごとに紙媒体で3部、同病院に提出してもらい、そのリストを平常時は病棟で管理する。災害時は災害対策本部、救急外来、HOTセンターに各1部ずつ持ち出して利用するという仕組み。

 (2)災害教育は、患者会で災害をテーマに講演などを行う他、HOT導入時に災害への準備をするよう指導し、同病院での対応などを説明。加えて外来通院時の看護外来でも、個別に酸素投与量などを指導する。

 (3)緊急時カードは、大規模災害時に自宅が大きな損傷を受け、医療機関や避難所などに避難するときに使うもの。氏名や避難先を書いた緊急時カードを自宅の目立つところに貼り付けることで、後から酸素供給業者が自宅を訪問した場合でも、酸素ボンベの配達などをスムーズに行えうようにする。

 (4)患者カードは、疾患名や酸素吸入量、投薬内容などを記載したもの。常に各自の携帯用酸素ボンベにつるすよう指導し、他の医療機関を受診しても酸素吸入量などが明らかになるようにしている。この指導を近隣の医療機関にも実施するよう依頼している。

 (5)同病院ではこうした取り組みに加え、年に1回、院内災害訓練を実施。その際に、HOTセンターを立ち上げ、模擬患者が参加してトリアージからHOTセンターまでの導線を確認したり、受付などの業務を把握する取り組みを2013年から始めている。

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