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1カ月前の物別れから一転、取りまとめへ
医療事故調査制度の運用指針まとまる
日医、医療事故調制度に支援姿勢示す

 今年10月からスタートする医療事故調査制度の運用指針を議論してきた「医療事故調査制度の施行に係る検討会」は3月20日、具体的な運用指針を公表した。遺族に院内調査結果を説明する際に、調査報告書を遺族に渡すかという点が争点となっていたが、「調査の目的・結果について、遺族が希望する方法で説明するよう努めなければならない」とし、努力義務とした。院内調査の結果をまとめた報告書を遺族に渡す可能性を残した指針となった。

 厚労省によると、来週にもパブリックコメントの募集を開始する予定で、4月以降に省令や通知を発出する。その後に第3者機関の指定が行われる見通しだ。

 医療事故調査制度は、病院、診療所または助産所で「予期せぬ死亡事故」が発生した場合に、民間の第3者機関に報告し、事故の原因究明と再発防止を目的とした院内調査を実施することを義務づける法律。2014年6月に可決しており、今年10月から施行されることが決定していた(関連記事:医療事故調査制度、来年10月から施行へ)。

 最終回となるはずだった先月2月25日の検討会では、構成員の意見がまとまらず、取りまとめには至らなかった(関連記事:医療事故調検討会、最終回で物別れに)。大きく意見が分かれたのは、医療機関が実施した院内事故調査結果を遺族に説明する際に、報告書を遺族に渡すかについての部分だった。

 その後、座長の山本和彦氏(一橋大学大学院法学研究科教授)と厚労省が運用指針を修正した上で各構成員に説明。「運用指針の一部に対して反対意見もあったが、おおむね各構成員の合意が得られたため、取りまとめに至った」(厚労省)。当初の予定よりも1カ月遅れで取りまとめられたことになる。

 今回示された指針では、院内調査結果の遺族への説明について「口頭または書面もしくはその双方の適切な方法により行う」ほか、「調査の目的・結果について、遺族が希望する方法で説明するよう努めなければならない」としている。

 検討会構成員で弁護士の田邉昇氏は今回の運用指針について、「報告書を遺族に渡すことを努力義務とすることはとんでもないこと。そもそも今回の制度の目的は再発防止で秘匿性が求められている。にもかかわらず、遺族に報告書を渡す可能性があるとなれば、医療安全を向上させ、再発防止につながるような情報が院内調査で得られる可能性は低くなる」と指摘する。

 同じく構成員の大磯義一郎氏(浜松医科大学教授)は、「東京女子医大での医療事故では、院内の調査結果が刑事責任追及のために使用されている。今回の運用指針では報告書を遺族に渡す可能性を残しており、責任追及に使われる恐れがある。玉虫色の指針となったことは非常に遺憾で、諸手を挙げて賛成はできない」と話している。

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