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吸入製剤としては2度目の挑戦、リベンジなるか
全米で吸入インスリンが処方薬として購入可能に

写真1 Afrezzaの製品写真 左が吸入器。右のカートリッジは青色が4単位用、緑色が8単位用(マンカインド社ウェブサイトより)

 米サノフィ社と米バイオ医薬品ベンチャーのマンカインド社(MannKind Corporation)は現地時間の2月3日、吸入インスリン製剤のAfrezza(商品名)が処方薬として全米の薬局で購入可能になったと発表した。この吸入インスリン製剤はマンカインド社が米食品医薬品局(FDA)に承認申請していたもので、2014年6月27日に承認された。その後同年8月にサノフィ社との間で開発や販売に関する世界的なライセンス契約が結ばれ、全米での発売に至った。

 Afrezzaでは小型の吸入器を用いて、カートリッジ内のインスリン粉末を口から吸入する(写真1)。ポリペプチドであるインスリンを肺から効率よく吸収させるために、フマリル・ジケトピペラジンとポリソルベート80(乳化剤)から成るマイクロパーティクルにインスリンを封入する技術を用いたという。肺に入ったインスリンはすぐに吸収され、血中に移行する。血中濃度のピークは吸入から12~15分と、超速効型インスリンの皮下注射より早い。

 適応は成人の糖尿病(1型の場合は持効型インスリンとの併用が必須)で、使われているインスリンはヒト型インスリン。作用発現が早いので、食事の開始時に吸入する。つまり食後の追加インスリン分泌を補充する目的で使うことを想定しており、持効型インスリンの代替とはならないとしている。

 単回使用のカートリッジは、インスリン4単位用と8単位用の2種類がある。それより投与量が多い場合は、2種類のカートリッジを組み合わせて複数回吸入する。より高用量の規格については、現在検討中とのことだ。

 インスリン粉末を吸入することから、慢性呼吸器疾患の患者では気管支攣縮を誘発する可能性があるとして、喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの慢性の呼吸器疾患がある患者に対しては禁忌とされた。投与開始に当たっては全例に、過去の病歴に関する問診や診察を十分に行うとともに、呼吸機能検査の実施(1秒量の把握)を求めている。

 また、長期の使用で呼吸機能が低下する可能性があるため、特に症状がなくても6カ月ごとの呼吸機能検査を行う必要がある。これ以外にも、ケトアシドーシスの治療目的や喫煙者(禁煙直後の場合も含む)に対しては推奨していない。

 インスリン製剤に共通する低血糖への注意点は本薬剤も同じだが、Afrezzaが吸入剤であることから、チアゾリジン系薬剤との併用時には心不全の悪化に注意することや、肺癌患者へは投与せず、肺癌の既往のある患者や肺癌のリスクが高い患者には慎重な判断を求めている。

 FDAのウェブサイトから入手できるAfrezzaの添付文書(こちら)には、後半に図を多用した患者向けの吸入の手順書も含まれており、薬剤の具体像がよく分かる。

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