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ウオッチ!2015介護報酬改定
特養・特定施設の基本報酬は引き下げか
「看取り介護加算」の引き上げなど重度者対応は評価へ

 厚生労働省は10月29日、2015年度介護報酬改定に向けて社会保障審議会・介護給付費分科会を開催し、特別養護老人ホーム特定施設の介護報酬と算定要件に関する見直し案を提示した。特養、特定施設ともに、中重度で医療ニーズが高い入居者が増えていることを勘案し、「看取り介護加算」などを引き上げる案を盛り込んだ。逆に、2014年介護事業経営実態調査の結果、両施設とも収支差率が高いことが明らかになったため、基本報酬は引き下げられる可能性がありそうだ。

多床室の居住費負担は引き上げ
 厚労省は同日の分科会で、特養における入居者の看取りを推進するため、看取り介護加算の算定要件を厳格化する一方で、報酬の引き上げを提案した(図1)。追加する算定要件としては、「入所者の日々の変化を、記録によって多職種で共有して連携を図り、看取り期早期から入所者や家族の意向を尊重しながら看取り介護を実施する」「記録などにより入所者や家族への説明を適宜行う」の2点を提示。その上で、死亡日4~30日前までの看取り介護加算の単位数(現在80単位/日)を引き上げる方針を掲げた。

 この案に対し、委員からは「最後まで看取った場合のみ点数で評価すべき」「最後に施設か医療機関かを選ぶのは本人や家族が決めることであり、条件を絞るべきではない」といった意見が上がった。

 そのほか特養の多床室については、国が居住費や食費の標準的な金額を定め、入居者が負担する基準費用額の引き上げを提案した。2013年の家計調査の結果、一般家計の光熱水費は月1万1215円で、現在の多床室の基準費用額に含まれている光熱水費の月1万円を上回ったことを反映したい考え。介護療養病床や介護老人保健施設でも同様の対応とする方針だ。

 また、高所得の入所者層に限り、在宅高齢者との負担均衡を図るため、多床室の室料負担を求める案も示された。低所得者に配慮し、利用者負担第1~3段階の入所者については、居住費・食費の一定額を介護報酬で補足する補足給付により利用者負担を増加させないこととした。

特養の基本報酬引き下げに賛否
 特養の基本報酬については、介護事業経営実態調査の結果、特養の収支差率が引き続き高い水準を維持しているほか、多額の内部留保の蓄積などが指摘される中、基本報酬の適正化を行うことについてどう考えるか、分科会の構成員から意見を求めた。

 2014年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2014」では、「2015年度介護報酬改定では、社会福祉法人の内部留保の状況を踏まえた適正化を行いつつ、介護保険サービス事業者の経営状況などを勘案して見直すべき」と提言。財務省が財政制度等審議会・財政制度分科会に提出した介護報酬への提案書でも、「特養は、内部留保が蓄積しない水準まで介護報酬水準を適正化すべき」としている。

 構成員の小林剛氏(全国健康保険協会理事長)は、「施設サービスは介護給付費の大きな部分を占めており、効率化に向け積極的に進めてほしい」と話した一方で、全国老人福祉施設協議会副会長の村上勝彦氏は、「内部留保がない施設は多く、収支差率も決して高くはない。報酬を引き下げられれば特養は立ち行かなくなる」と訴えた。また、「介護報酬と法人の内部留保の問題は一緒に議論すべきではない」(民間介護事業推進委員会代表委員の山際淳氏)との意見も上がった。

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