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感染症関連4学会が医療関係者に緊急セミナーを開催
エボラは長引く高熱と嘔吐下痢、渡航歴で疑う
患者の汗でも感染リスク、疑い例はまず専門施設に相談を

 「ギニア、リベリア、シエラレオネといった西アフリカ渡航歴があり、1週間程度続く発熱や消化器症状などを訴える症例を診察した場合は、エボラ出血熱を疑い、まずは最寄りの保健所や感染症指定医療機関に相談してほしい」――。10月13日、感染症関連の4学会(日本感染症学会、日本化学療法学会、日本環境感染学会、日本臨床微生物学会)が医療関係者向けに合同開催した「エボラ出血熱およびデング熱への対応」緊急セミナーでは、このように呼び掛けられた。

 エボラ出血熱は、西アフリカのギニア、リベリア、シエラレオネを中心に患者が発生し、過去最大規模の流行を見せている。WHOの報告によると、10月12日までの感染者数は疑い例も含め8997人、死亡者数は4493人となった。スペインや米国で医療従事者への2次感染例が確認されるなど、西アフリカ以外でも患者が確認され、日本での患者発生が危惧されている。

 8月にリベリアで医療支援を行った国立国際医療研究センター国際感染症センター国際感染症対策室医長の加藤康幸氏は、エボラ出血熱の一般的な臨床症状について「まず38℃以上の高熱が1週間ほど続き、その週の後半から嘔吐や下痢、腹痛などの消化器症状が目立つようになる」と解説した。

 今回の流行でも、患者では発熱(87.1%)、嘔吐(67.6%)、下痢(65.6%)の症状が多く見られたとWHOから報告されている1)。また、エボラ出血熱は出血症状が強調されがちだが、原因不明の出血は全体の18.0%にしか見られていない。

 さらに加藤氏は「エボラ出血熱の症状は、熱帯熱マラリアの初期症状とよく似ている」と指摘する。今回エボラ出血熱が流行している西アフリカは、熱帯熱マラリアが世界で最も流行している地域の1つ。これまでの報告では、西アフリカ渡航歴があり38℃以上の高熱を呈した患者の半数は、熱帯熱マラリアによるものだったという。

 加藤氏は「西アフリカが乾季になる12月以降は、ラッサ熱や髄膜炎菌感染症も現地で流行する。西アフリカ渡航歴がある発熱患者では、これらの感染症の可能性も高くなる」と話した。このように流行地への渡航歴があり発熱症状を呈する患者であっても、エボラ出血熱である可能性は決して高くない。疑い患者を診察した際は、慌てず、まずは保健所や感染症指定医療機関に相談して専門家の助言を仰ぐことが必要そうだ。

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