日経メディカルのロゴ画像

関係者へのヒアリングを経て8月上旬をめどに1校の候補を選定
東北地方の医学部新設に向けた議論がスタート

 文部科学省の「東北地方における医学部設置に係る構想審査会」の第1回審査会が6月16日に開催された。応募のあった3団体の構想の概要について文科省から説明があり、新しい医学部の方向性や、どのような点に軸を置いて審査すべきかが議論された。今後、応募者や関係自治体、日本医師会などへのヒアリングを経て、8月上旬までには選定候補を1校に絞る見通しだ。

 文科省は昨年、東日本大震災からの復興や東北地方の医師不足、原発事故からの再生といった要請を踏まえ、東北地方に1校に限り、一定の条件を満たす場合に医学部の新設を認める方針を示した(関連記事:「東北の1校に限り」医学部新設を特例認可へ)。総合南東北病院(福島県郡山市)などを運営する脳神経疾患研究所の国際復興記念大学設立準備室、東北薬科大宮城県の3団体が応募した(関連記事:3陣営が東北地方の医学部新設を申請)。

 文科省は医学部新設に関する基本方針として、(1)震災後の東北地方の地域医療ニーズに対応した教育を行う、(2)教員や医師、看護師の確保の際、引き抜きなどで地域医療に支障を来さない方策を講じる、(3)大学と地方公共団体が連携し、卒業生が東北地方に残って地域の医師不足解消に寄与する方策を講じる、(4)将来の医師需給などに対応し、定員を調整する仕組みを作る――といった条件を示している。審査会はこの基本条件に適合し、より趣旨にかなう選定候補を絞り、文科相に報告する。文科省は審査会の報告に基づき1校を選定し、早ければ2016年4月にも大学を開学したい考えだ。

 第1回の審査会では、3団体の構想と基本方針を照らして議論が進められた。

 新しい医学部の方向性として、「スタンダードな医学教育を行う大学と、何かに特化した大学のどちらを目指すのか」と国立病院機構理事長の桐野高明氏が問題提起したところ、複数の委員から「何かに特化した大学を目指すべき」との声が上がった。全国自治体病院協議会会長の邉見公雄氏は「例えば地域医療総合診療を担う医師を養成するなど、既にある医学部とは異なる特徴のある大学にした方がいいのではないか」と話した。

 東北地方の医師不足解消に寄与する方策として、邉見氏は「既存の大学と同じような医学部を作っても、医師が都市部に流出する可能性がある。極端なことを言えば、東北地方限定の医師免許を与えるという形でもいいのでは。それぐらいしないと、医師不足の解消にはつながらない」と主張した。

 一方で、医学部を新設しても医師が現場に出るまでには10年近くかかることから、「即効性を欠く施策では」「どれだけ復興に寄与するのか」といった意見も出た。こうした意見に対し、文科省は「人材養成のため、直ちに効果が出るものではない。だが、地域に密着した医学部ができることで、その土地に住む人々は安心感を得られるようになる」と説明した。

この記事を読んでいる人におすすめ