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STAP細胞の有無を含めた論文の検証は役割ではないものの…
理研の改革委員会「STAP細胞はなかった」
「小保方氏も『間違ってました』とは言い出しにくいのでは」

多くの報道陣が集まった記者会見の様子。写真左から市川氏、間島氏、委員長の岸氏、塩見氏、竹岡氏、中村氏。

 理化学研究所の「研究不正再発防止のための改革委員会」(委員長は新構造材料技術研究組合理事長の岸輝雄氏)は2014年6月12日、理研発生・再生科学総合研究センター(CDB)の早急な解体やCDB上層部の刷新を盛り込んだ「研究不正再発防止のための提言書」を発表した。

 STAP細胞の有無を含めた論文の検証は改革委員会の本来の役割ではないものの、再発防止策を検討するに当たって、同委員会は原因分析や関係者からのヒアリングを実施。記者会見では複数の委員が「STAP細胞はなかった」との見方を示し、STAP細胞の存在を信じて再現実験を進めているCDB関係者との温度差が浮き彫りになった。各委員の感想と質疑応答の主なやりとりは以下の通り。

――岸氏から一言。

 最終的には理研と理事長の野依良治氏が判断すべきことではあるが、ここまでの問題が起きた以上、CDBは一度解体して出直すことが要求されると思う。また、理研には、STAPがあるのかないのか明らかにするという課題も課せられている。

 我々は、プロトコルなどが論文とは異なる現状の再現実験で十分だとは考えていない。再現実験ではテラトーマの形成能も評価するべきだ。また、「STAP細胞はある」と主張している小保方晴子研究ユニットリーダー(RUL)が実験に参加しない限り、「ない」と結論するのは難しい。1年ぐらいを視野に実験すべきではないか。加えて、(提言書に盛り込まれた)調査・改革監視委員会を作って、きっちり監視してもらいたい。

 提言書では研究不正が認められていないNature誌の1報論文(Letter)についても、検証すべきだとした。調査委員会を立ち上げるかどうかは分からないが、野依氏からは真摯に受け止めると言われている。必ず実行するよう要望したい。かつ、調査・改革監視委員会で、調査の状況を監視することも重要だ。STAP問題は世界中から注目を集めている。提言を十分取り入れて改革を実行し、理研にはSTAP問題を乗り越えて、飛躍してほしい。

――信州大医学部特任教授の市川家國氏から一言。

市川 研究倫理を扱う研究者から見て、STAP問題はJan Hendrik Schon氏による研究不正、黄禹錫氏の研究不正に並ぶ、3つ目の研究不正になっている。不正の種類が多様であり、かつ、それに対する組織の対応にも問題があったという意味で、最も深刻な研究不正になるのではないか。

 今後、若手研究者が論文を発表する際、理研だから、日本だから、という理由で信憑性が疑われるのは、国益が損なわれ、大きな問題だ。日本が科学的真理に対して真剣に対応することが求められている。研究不正の1ケースとして後世に残ることを考えても、理研として今、真実を明らかにすることが非常に重要だ。

――公認会計士で中央大商学部教授の間島進吾教氏から一言。

間島 改革委員会は約2カ月にわたり、熱のこもった議論を行ってきた。理研には、単に提言を受け取るだけでなく、きちっと対応していただきたい。また、仮に提言を実行したとしても将来、研究不正は再び起きるだろう。最も大事なのは、こうした研究不正が日本にとって大きなマイナスであると感じ、研究者自身が自分自身の問題として捉えて、オーナーシップを発揮することだ。

――東大理学系研究科教授の塩見美喜子氏から一言。

塩見 「国際会議などで海外の研究者からは、自身の研究だけでなく、日本の研究がすばらしいと言われることが多い。だから日本人の研究者として、理研のことも誇りに思ってきた。今回こうした悲しい出来事が起き、浄化できずに問題が長引いて肥大化しているのは由々しき事態だ。ぜひ問題を早急に解決して、貶められた名誉を挽回するよう対応を取ってほしい。

――光和総合法律事務所弁護士の竹岡八重子氏から一言。

竹岡 日々の報道やインターネットの情報から、STAP問題には国民が怒りを含めた関心を持っていると感じていた。理研の対応がトカゲのしっぽ切りで終わり、上層部の責任は問われないのではないかという国民の素朴な正義感に触れ、委員の重責を感じた。

 日本は科学技術に支えられている国であり、科学研究に多額の予算をつぎ込んでいる。理研には、国民の納得や信頼があってこそ、研究活動ができるということを改めて理解してもらいたい。今回の提言をしっかり受け止め、国民のために実行して欲しい。

――阪大全学教育推進機構准教授の中村征樹氏から一言。

中村 提言書はかなり厳しい内容だが、理研には日本をリードする研究機関のモデルになってほしい。CDBを単につぶして終わりではなく、今回のことを契機に原点に立ち戻って、どういう研究機関であるべきか考えてもらいたい。ガバナンスを強化することも重要だ。ただそれは、上から締め付けるということではなく、若手研究者が自由闊達に研究できる場をトップが保証するということ。理研の研究者には主体的に考え行動して、今後の理研の中核になって活躍してほしい。

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