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「高血圧症治療薬の臨床研究事案に関する検討委員会」第4回を開催
滋賀医大、千葉大でもデータの不一致を確認
恣意性のあるデータ操作は否定されるも、委員からは批判相次ぐ

 バルサルタン(商品名ディオバン)に関する臨床研究の不正を検証する「高血圧症治療薬の臨床研究事案に関する検討委員会」の第4回検討委員会が12月25日に開催された。今回は、滋賀医大のSMART、名大のNAGOYA HEART StudyNHS)、千葉大のVARTについて、大学や第三者機関による調査結果が報告された。SMART、NHS、VARTとも明らかに恣意性のあるデータ操作は確認されなかったが、プロトコル通りに研究を行っていなかったり、論文で統計解析担当者を偽っていたことが明らかになり、委員からは批判が噴出した。

 バルサルタンに関する臨床研究のうち、KYOTO HEART StudyKHS)とJikei Heart StudyJHS)については、既に大学や第三者機関による調査結果や関係者へのヒアリングなどに基づく検証が行われた(関連記事:「責任はノバルティス社と関係大学の双方で負うべき」)。今回は、前回の検討会時点では調査中だった3大学の調査結果が報告された。

 滋賀医大の柏木厚典氏らが行ったSMARTでは、尿中アルブミン値を3回測定して平均値を用いるべきところ、3回測定した中間値とその数値に近い値の平均値を用いるなど、プロトコル通りに研究が行われていなかった(関連記事:滋賀医大のバルサルタン臨床研究でも有意差消失)。統計解析についても、「第三者機関が行う」としていたが、実際には研究グループが行っていた。また、研究に参加した患者150人のうち101人分のカルテの記録を確認したところ、論文に用いられた解析用データとカルテで数値の不一致が10.1%確認された。

 SMARTでは、KHSやJHSに関与していたノバルティス ファーマ社の元社員の部下(既に退職)が、医師らにデータの測定法を教えたり、中間報告の資料の作成、論文執筆時のグラフ作成などに関わっていた。だが、研究者へのヒアリングでは、数値の不一致などについて元社員の関与は否定された。

 名大の室原豊明氏らが行ったNHSについては、公益財団法人先端医療振興財団臨床研究情報センター(TRI)がデータの検証を実施。研究に参加した患者1150人のうち、141人分のカルテの記録、ウェブ入力データ、解析用データなどを照合した結果、「恣意的なデータの操作は行われていない」と判断された(関連記事:名大がバルサルタン臨床研究で調査中間報告)。ノバ社の元社員は計画段階から研究に関与していたが、ウェブ入力システムにアクセスする権限を与えられていなかった。

 千葉大の小室一成氏(当時、現在は東大)らが行ったVARTでは、研究に参加した患者1021人のうち108人分のカルテの記録と解析用データの照合により、血圧値の不一致が4.3%に認められた。ただ、バルサルタン群に有利になるような偏りは見られなかったという。2次エンドポイントについては、心縦隔比で8.0%、尿中アルブミンクレアチニン比で7.6%に不一致が認められた。

 千葉大は調査の正確性を期すため、TRIに調査を依頼。この結果を待ち、最終的な結論を出す予定だという。

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