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「高血圧症治療薬の臨床研究事案に関する検討委員会」第3回を開催
「責任はノバルティス社と関係大学の双方で負うべき」
誇大広告による薬事法違反の可能性についても言及

 バルサルタン(商品名ディオバン)の臨床研究で起こった不正の検証を行う「高血圧症治療薬の臨床研究事案に関する検討委員会」の第3回検討委員会が9月30日に開催され、「高血圧症治療薬の臨床研究事案を踏まえた対応及び再発防止策について」の中間取りまとめ案が示された。検討委員会による関係者へのヒアリングでは、データの操作を誰が何の目的で行ったかは明らかにならなかったが、「今回のデータ操作による結果に対する責任のみならず、わが国の医学界に対する信頼性が低下したことに対する責任は、ノバルティス ファーマ社および関係大学の双方で負うべきと考える」と結論付けた。

 第2回検討委員会以降、委員らは東京慈恵医大京都府立医大の研究責任者、症例割り付けやデータ集計などを委託された外部データセンター関係者、ノバ社の元社員(統計解析に関与したとされる元社員と当時マーケティング部門を統括していた元社員)の5人のヒアリングを非公開で実施。ヒアリング内容を基に、今回の研究不正が起こった背景、原因や問題点を指摘し、再発防止策をまとめた。

 まず問題点として、大学側の臨床研究の企画立案について、「いかなる医学的研究課題を解明するためにこのような医師主導の臨床研究を企画立案したかについて明示していない」と指摘。一方でノバ社側には自社製品の販売戦略という動機が認められることから、「本来の目的があいまいな状態で研究を実施することにより、医学的研究以外の意図などを有する者が関与する隙を与えた可能性がある」とした。

 利益相反(Conflict of Interest:COI)の開示についても、両者の問題点を指摘。ノバ社は東京慈恵医大に総額1億8770万円、京都府立医大には総額3億8170万円の奨学寄付金を提供し、「今回の研究事案の支援に用いられることを意図および期待していた」と説明している。また、統計解析に関与したとされる元社員が当初、営業関係が管轄する部署に所属していたこと、研究責任者にこの元社員を紹介したのが同社の営業関係者だったことから、「ノバ社からの長期間にわたる多額の資金提供および労務提供は、営業を含めた業務の一環として行われたものと考えられる」と断定。「製薬企業から研究機関への資金提供および労務や専門的知識の提供について透明性が確保されていない」と指摘した。

 一方で東京慈恵医大、京都府立医大の研究責任者は、統計解析に関与したとされる元社員がノバ社の社員であることを、研究当初か途中で認識していた可能性が極めて高いとし、「関連する論文にCOIに関する適切な記載を行っていない」ことを指摘した。その背景には、研究責任者がCOIに関する適切な開示の必要性を認識していなかった可能性に加え、臨床研究に際しての実施体制が脆弱だったことが影響を及ぼした可能性があるとも言及した。

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