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カルテのデータでは複合イベント発生率に有意差なし
KYOTO HEART Studyのデータ操作が明らかに

 京都府立医大は7月11日、同大循環器内科・腎臓内科教授(今年2月に退職)の松原弘明氏らによるKYOTO HEART Studyの解析用データに、人為的な操作が認められたと発表した。カルテの記録と解析用データを比べた結果、解析用データでは、主要エンドポイントに設定した複合イベントの発生数がバルサルタン群で少なく、対照群では多くなっていた。カルテの記録と解析用データで、血圧値の差異も認められた。

 KYOTO HEART Studyは、心血管リスク因子があり、4週以上にわたってコントロール不良な高血圧患者3031人を対象に行われた試験。降圧薬にバルサルタンを追加した群と、ARBACE阻害薬以外の降圧薬で治療した群の比較で、降圧効果には差がなく、致死性および非致死性の心血管イベントの発生率はバルサルタン群で有意に少なかったと報告された。論文は欧州心臓病学会の学会誌であるEuropean Heart Journalに掲載されたが、同誌は今年2月に論文を撤回(関連記事:欧州心臓病学会誌がKYOTO HEART Study論文を撤回)。京都府立医大は内部委員4人、外部委員4人による調査委員会を設置して調査を進めていた。

 調査委員会は論文作成に使用したとみられる解析用データセット、試験に参加した医師が入力したウェブ入力データセット、京都府立医大病院で登録された患者223人分(バルサルタン群112人、対照群111人)のカルテ情報などを精査した。

 カルテを閲覧できた患者223人の複合イベントの発生数は、カルテでは34件だったが、解析用データでは48件になっていた。カルテで複合イベントなしとされたが、解析データではありとなっていたケースが、バルサルタン群で4例、対照群で20例あった。カルテで複合イベントありとされたが、解析データではなしとなっていたケースは、バルサルタン群で9例、対照群で1例あった。

 この223人のデータで複合イベント発生率を比較したところ、解析用データを用いた解析ではバルサルタン群でイベント発生が有意に抑制されたが、カルテのデータではイベント発生に有意差は認められなかった(図1)。

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