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“バルサルタン問題”を受け第三者委員会報告書を作成
日本高血圧学会「臨床試験は奨学寄付金から契約に」

 日本高血圧学会は5月25日、臨床高血圧フォーラムの「臨床研究における利益相反のマネージメント」と題した講演会の冒頭、同学会の「臨床試験に関わる第三者委員会報告書」の結果を報告した。

 同学会では、京都府立医大で行われたバルサルタン(商品名ディオバン)に関する臨床研究「KYOTO HEART Study」で、その主要論文などが「データの幾つかに重大な問題が存在した」として撤回されたこと、さらに同薬を発売するノバルティス ファーマが研究に関与していたにもかかわらず、その利益相反関係が開示されていなかったことを受け、臨床試験のあり方について議論を行っていた。

 第三者委員会は、弁護士で日本医学会の利益相反委員会のメンバーでもある平井昭光氏を議長に、外部の識者も含めた5人で構成され、オブザーバーとして文部科学省 科学技術・学術政策局 産業連携・地域支援課 大学技術移転推進室の鷲崎亮氏なども参加した。

 同委員会の委員であり、この日の講演会の座長を務めた阪大臨床遺伝子治療学教授の森下竜一氏は、「現在報道されている内容は、研究行為にねつ造や改ざんなど研究不正の問題と、利益相反を混同して扱っている」と指摘。研究不正については、「別途議論する必要がある」とした上で、ノバルティス ファーマ社の社員が同社の肩書きではなく、大阪市立大の肩書きで著者として名前を連ねていることに関して、「利益相反の観点から検討の余地がある」とした。

 奨学寄付金についても、「それ自体は問題なく、それによって臨床研究を行うことも問題ない」としながらも、「今後は、なるべく共同研究契約や受託研究契約という法的枠組みを活用して実施することが望ましい」と今後の方向性を示した。

 今後の臨床研究・臨床試験のあり方については、政府資金および民間資金の活用が重要であることを強調した上で、「国民および患者に対して透明性を高めて説明責任を果たすことも重要」とした。また、データの信頼性を確保し、透明性を高めるためには、問題が起こった場合に研究の生データにアクセスできる形で保存しておくことなどを提案した。

 同学会では今後、年に1回程度、利益相反の講演会を開催していく予定だという。また、同学会が発行する学会誌『Hypertension Research』で透明化を確保する仕組みなどについても、今後、同学会のWebサイト上などで示していくとしている。

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