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添付文書改訂へ、関連学会は患者の自己休薬を危惧
SSRI、SNRIの小児への有効性確認できず

 厚生労働省は3月29日、SSRI(選択的セロトニン再取込み阻害薬)やSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取込み阻害薬)などの6種類の新規抗うつ薬について、小児等に投与する際は適応を慎重に検討することを添付文書に追記するよう、日本製薬団体連合会に指示した。製造販売元から、小児等に対する有効性が確認できなかったとの報告があったのを受けたもの。日本うつ病学会など関連学会は臨床医に対し、患者が自己判断で服用を中止することのないよう、患者家族に十分説明するよう求めている。

 添付文書改訂の対象となる薬剤は、SSRIであるエスシタロプラム(商品名:レクサプロ)、セルトラリン(商品名:ジェイゾロフト)、フルボキサミン(商品名:ルボックス、デプロメール)と、SNRIであるデュロキセチン(商品名:サインバルタ)、ミルナシプラン(商品名:トレドミン)、およびNaSSAのミルタザピン(商品名:レメロン、リフレックス)の計6種類。医薬品医療機器総合機構がまとめた調査報告書によると、これらの薬剤については、6~17歳の大うつ病性障害(Major Depressive Disorder;MDD)患者を対象にした海外のプラセボ対照無作為化試験において、有効性の主要評価項目に関し実薬群とプラセボ群の間で統計学的有意差を認めなかった。

 この結果を受け、6種の薬剤の添付文書の「使用上の注意」欄には今後、「18歳未満(エスシタロプラムは12歳未満)のMDD患者に対し、投与する際には適応を慎重に検討すること」との文言が追記される。

 この改訂指示通知を受けて、日本うつ病学会と日本児童青年精神医学会は3月29日、「添付文書改訂により、薬物療法の可能性が否定されるものではないと考える」との見解を発表。日本うつ病学会理事長の神庭重信氏(九州大大学院精神病態医学教授)は、「専門医の間では以前から知られていた話。これまでも個々の医師が、自らの経験に基づいて処方していた」と説明する。

 危惧されるのは、今回の添付文書改訂の報を聞いた患者家族が、自己判断で服薬を中断してしまうこと。本薬が有効だった小児では服薬中止により症状悪化のリスクがあるし、これらの薬をある程度の期間、飲んでいた患児が服薬を急に中止すると、退薬症状(不安、焦燥、興奮、錯乱などの精神障害や、耳鳴り、電気ショックのような知覚障害)が出現する可能性がある。したがって服薬を中止するにしても、医師の指示の下で徐々に減量しなければならない。

 この警告は、厚労省の通知や学会の声明にも目立つ形で書かれてはいるが、小児患者にこれらの抗うつ薬を投与している場合には、患者家族にきちんと説明をしておく必要ありそうだ。「今回の改訂は、有害事象が発生して禁忌になったというわけではないので、急な中断はしないでほしい」と神庭氏は念を押している。

 

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