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Circulation Journalのサブ解析論文2編の撤回に続き
欧州心臓病学会誌がKYOTO HEART Study論文を撤回

 欧州心臓病学会誌(European Heart Journal)は2013年2月1日、「論文中に報告されたデータの幾つかに重大な問題が存在した」として、京都府立医大循環器・腎臓内科学教授の松原弘明氏らによるKYOTO HEART Studyの論文(Sawada T, et al. Eur Heart J. 2009;30:2461-9.)を撤回すると発表した。

 KYOTO HEART Studyは、コントロール不良の高血圧患者を対象に、アンジオテンシンII受容体拮抗薬ARB)であるバルサルタン(商品名ディオバン)の投与による降圧に加えた心血管イベント抑制効果を検討した、PROBE(Prospective, Randomized, Open, Blinded-Endpoint)法によるランダム化比較試験。

 介入群(1517人)にはバルサルタンによる降圧治療、対照群(1514人)にはARBまたはアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬以外の降圧薬による治療を行った。主要エンドポイントは、心および脳血管イベント(急性心筋梗塞、狭心症、脳卒中などの複合エンドポイント)の発生。追跡期間の中央値は3.27年だった。

 試験終了時点の血圧値は、介入群(収縮期133±14mmHg、拡張期76±11mmHg)と対照群(収縮期133±14mmHg、拡張期76±10mmHg)で、両群ともほぼ同じだった。だが、心血管イベントの発生は、介入群の83件(5.5%)に対して対照群では155件(10.2%)と、介入群で約半分に減少した(HR:0.55 、95%CI:0.4-0.7、P=0.00001)。総死亡(HR:0.76、95%CI:0.4-1.3)や心血管死亡(HR:0.66、95%CI:0.3-1.6)には有意差は見られなかった。これらの結果を基に論文は、バルサルタンによる上乗せ効果が認められたと結論した。

 複合エンドポイントの内訳は、急性心筋梗塞、狭心症、心不全、脳卒中、解離性大動脈瘤、下肢の動脈閉塞症、透析導入または血清クレアチニン値の2倍化と多岐にわたり、これらのいずれかが起こった時点でイベントとして数えられた(下表)。本試験はPROBE法で行われたが、一般論としてPROBE法では、被験者がどちらの群に割り付けられているかが研究者には分かることから、介入が有効であることを示すため、対照群でより多くのイベントを見いだそうとするバイアスが働くことが否定できない。この点については著者らも論文中で言及しており、判定はエンドポイント委員会が行ったとしている。

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