日経メディカルのロゴ画像

消費税率引き上げに向けた調査案めぐり紛糾 ─ 中医協
消費税の負担軽減措置の対象は500万円以上?

2012/11/29
最上 政憲=医療ライター

厚生労働省が11月28日に開催した中央社会保険医療協議会。

 消費税率の引き上げに伴い、高額の投資をした医療機関の消費税負担はどうなるのか──。

 11月28日の中央社会保険医療協議会(中医協)総会では、この消費税問題に対する措置を検討するために実施する「医療機関の設備投資に関する調査」の調査票についての議論が行われたが、調査票の文言をめぐって議論が紛糾。予定時間を超えても意見がまとまらず、最後は「会長一任」で決着するに至った。

 議論が紛糾したのは、調査票にあった「病院(300床以上)の方:原則として500万円以上の機器についてご記載ください」という文言。

 厚労省の竹林経治・保険医療企画調査室長は、「回答率を上げるために下限の設定が必要」と説明したが、診療側委員で日本病院会常任理事の万代恭嗣氏は、「500万円という下限を設定せずにすべての医療機関について調べてほしい」と要望。「原則としてすべての病院に回答してもらい、回答の負担があれば500万円以上の設備投資について記載するような文章に修正すべきだ」と主張し、500万円で区切るのは「調査する前から『高額』の定義を規定するもの」と詰め寄った。

 これに対して、支払側や公益側の委員らが反対した。支払側委員で健康保険組合連合会専務理事の白川修二氏は、「設備投資の全体を把握する調査ではない。これは高額投資の調査であって、全数調査とは全く違う」と言及。さらに「1000床の病院で10万円は高額投資と言えるのか、一般常識で考えておかしい。『高額』の意味を『500万円以上』と定義するつもりはないが、一定程度の高額投資を対象に調査すべきだ」と主張した。

 医療機関での高額投資については、その消費税負担について軽減措置が講じられることになっている。この軽減範囲をできるだけ広げたい診療側と、それを拒む支払側とで、意見が対立しているわけだ。

分科会でも「会長に一任」で決着したのだが…
 実は、調査票に記された「500万円」という下限金額については、総会に先立って10月31日に開催された中医協の診療報酬調査専門組織「医療機関等における消費税負担に関する分科会」(消費税分科会)でも、既に議論の対象になっていた。

 消費税分科会で示された案では、「病院の方:500万円以上の機器についてご記載ください」と書かれていた。分科会の席で竹林室長は、「税制上の優遇措置の対象となる高額の医療機器の制度上の『高額』が500万円だったことも参考にした」と説明。さらに、「予備的調査で取ったデータを前提にして医療機器の金額を高いほうから並べていくと、件数的に500万円ぐらいのラインで全体の15%が引っかかってくる。金額ベースでは、500万円以上で75%ぐらいをカバーする。『なぜ75か』、『なぜ15か』について特に理由を説明できないが、一定の割り切りをする案として出した」と述べていた。

 分科会でも、診療側の委員は「500万円以上」の削除を求めたが、反対意見が出てまとまらず、分科会長である田中滋氏(慶大大学院教授)に「一任」して決着した。

 分科会で示された調査票原案は、中医協総会では一部修正されて提示されたが、修正後も「500万円以上」という記載は残っていたため、再び意見が割れることになった。ちなみに、中医協総会と分科会の委員は、一部が重なっている。

最終決定の場は総会?それとも分科会?
 「500万円」を巡る総会での議論は、その後、調査票の内容ではなく、別の方向に流れていき、混乱の度を増していくことになった。

この記事を読んでいる人におすすめ