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中医協・消費税分科会が検討を開始
消費税と診療報酬、「根底から見直すべき」の声も

2012/06/21
最上 政憲=医療ライター

厚生労働省が6月20日に開催した「医療機関等における消費税負担に関する分科会」の初会合。

 消費増税に伴う対応策を検討するため、厚生労働省は6月20日、中央社会保険医療協議会(中医協)の下に新たな分科会を設置して議論をスタートした。初回の意見交換で診療報酬の支払側委員は、「消費税相当分が診療報酬に含まれていることを99%の国民は知らない」と指摘。診療側委員も「なぜ医療はこんなに複雑なのかという思いがあるので、根底から見直す時期に来ている」と賛同したが、「議論の焦点を絞らないと、明確な結論は出ない」と、会の意義を危ぶむ声も出された。

 新しくスタートした分科会は、中医協の診療報酬調査専門組織「医療機関等における消費税負担に関する分科会」。政府の「社会保障・税一体改革大綱」で、医療機関などの消費税負担について、「厚生労働省において定期的に検証する場を設ける」とされたことを踏まえて設置された。

 大綱では、「社会保険診療は諸外国においても非課税であることや、課税化した場合の患者の自己負担等の問題を踏まえ、非課税の取扱いとする」とした上で、「消費税率の引き上げに当たり、医療機関等の行う高額の投資に係る消費税の負担に関する措置をはじめとする所要の措置等について検討を行う」としている。

 会議のメンバーは、「公益、税制、会計有識者」4人、「支払側」委員6人、「診療側」委員6人、「医薬品、材料関係団体」2人の計18人で、うち10人が中医協総会の委員。分科会長には、支払側と診療側の推薦で慶大経営大学院教授の田中滋氏が就任した。

社会政策的な配慮から非課税
 厚労省はまず、「社会保険診療に関する消費税の取扱い」と題する資料を示し、「消費税の性格から課税対象になじまないものや社会政策的な配慮から課税することが適当ではない取引について、消費税は非課税取引とされている」と説明。「社会政策的な配慮から課税することが適当ではないもの」として非課税取引とされる8項目の1つに、「公的な医療保障制度に係る療養、医療、施設療養又はこれらに類する資産の譲渡等」があることを示した。

 また、消費税導入時(平成元年)と5%への引き上げ時(同9年)の対応について、「消費税による影響が明らかと考えられる代表的な診療報酬点数の改定を行った」(平成元年)、「消費税負担が大きいと考えられる病院の入院環境料などに代表させた。代表させる適当な点数がない無床診療所などの外来部門は各種指導料で対応した」(同9年)と説明。消費税負担分を診療報酬で補填したことを示した。

 同分科会の検討項目については、4月11日の中医協総会で示した3項目を提示。(1)過去の消費税導入・改定時の対応・経過の検証、(2)医療機関などにおける消費税課税などの状況把握、(3)消費税引上げに対する診療報酬制度などにおける対応─を挙げた。

 (1)を今年度前半までに行い、(2)については今年度中に調査を実施する予定。(3)については、今年度中に「議論の中間整理」を行い、「高額な投資部分」の基本的な考え方を取りまとめる。消費税8%引上げ時の対応は来年度前半までに取りまとめる。

「国民には全然分からない不透明な形」
 意見交換で日本医師会副会長の今村聡氏は、「あえて支払側や公益側の先生方にお聞きしたい」と切り出した。「医療機関の消費税負担分を患者さんに負担させないために医療は非課税になっているが、実際は診療報酬の中で負担する。ということは、結局はその分を患者さんが負担しており、本来的に負担を減らすことにはなっていない。補填の仕方は非常に不明確になっていて、医療側も分からない。支払っている患者さんも分からない。国民も全然分からないという不透明な形が現状だ」

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