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行政の裁量権を制限し、患者・医師の権利を守る必要性を主張
保険医取消訴訟で勝訴した溝部氏が健康保険法改正を訴える

 「指導・監査・処分改善のための健康保険法改正研究会」は、2月23日に開催した記者会見で、健康保険法の改正の必要性を訴え、具体的な提言を行った。同会は、2011年に保険医取消訴訟で勝訴(関連記事1関連記事2)した溝部達子氏を中心に、代理人弁護士を務めた石川善一氏らが参加し、この日に発足した。

 山梨県甲府市のクリニックで小児科の診療を行っていた溝部氏(みぞべこどもクリニック院長)は、2005年11月に、無診察処方不当検査により、不正な保険請求を行ったとして、山梨社会保険事務局から保険医療機関指定と保険医登録の取消処分を受けた。溝部氏はこれを不服として、国を相手に処分取り消しを求める行政訴訟を提訴。甲府地裁は2010年3月に、「取消処分は裁量権の範囲を逸脱している」として違法との判決を下し、東京地裁も2011年6月に一審を支持する判決を下した。国が上告を断念したため、二審で溝部氏の勝訴が確定した。

 健康保険法は、「保険医療機関において診療に従事する保険医は、厚生労働省令(保険医療機関及び保険医療養担当規則)で定めるところにより、健康保険の診療に当たらなければならない」としており、これに違反した場合は保険医登録が取り消しとなる。また、「監査要綱」では、取消処分の要件を(1)故意に不正または不当な診療、診療報酬の請求を行った場合、(2)重大な過失により不正または不当な診療、診療報酬の請求をしばしば行った場合―としているが、処分の基準は明確になっていない。

 同会は健康保険法の問題点として、(1)行政の裁量が広範なことから裁量権の逸脱・濫用が起こり、処分を恐れて萎縮医療が行われ、保険医の診療権ならびに患者の受療権に制約が生じている、(2)大日本帝国憲法下の1942年の健康保険法改正以来、保険医の取消処分ができる立法政策が変わっていないため、日本国憲法第13条(人権最大尊重の原理)に基づく比例原則に適合していない―の2点を指摘。また現在、保険医に対する行政の指導監査に際して、弁護士は同席しても発言できない点も改善すべきと訴えた。その上で、法改正の第一歩として、保険医による弁護士の選任権を確立し、指導・監査に際して弁護士の立ち会いを認めるべきだと主張。さらに法改正の基本的提言として、以下の4つを挙げた。

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