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癌専門医668人のアンケート結果
癌患者の就労支援体制は医師の意識が高いほど充実

 治療にかかわる専門医668人のうち、癌患者が仕事を休まなくても受診できるよう配慮をしている医師は83%、患者の勤務形態(勤務日や勤務時間など)を知るようにしている医師は66%。医師の意識が高いほど、所属する医療機関の癌患者への就労支援体制は整っている―。そんな調査結果を、北里大学公衆衛生学講師の和田耕治氏らがまとめ、論文がJapanese Journal of Clinical Oncology誌電子版に2月8日に掲載された。

 近年、癌の治療成績の向上に伴い、癌患者が治療と並行して仕事を続けることが可能になってきている。だが、そのためには、家庭や職場の支援に加え、癌専門医の協力や、医療機関の体制面での配慮が不可欠だ。

 和田氏らは、日本の癌治療の専門医が癌患者の就労支援にどのような意識を持ち、どう行動しているのか、また、医療機関の支援体制の現状はどうなっているのかを明らかにするため、無記名方式のアンケートを行った。

 対象は、日本臨床腫瘍学会の専門医・指導医453人と、日本がん治療認定医機構の認定医で関東地方在住の外科系医師1016人。2010~11年の間に質問票を郵送し、668人から回答を得た(回答率45.5%)。回答者の内訳は、日本臨床腫瘍学会専門医・指導医223人(回答率49.2%)、日本がん治療認定医機構の外科系認定医445人(回答率43.8%)。

 患者の就労支援に関する意識や行動に関する7つの設問のうち、「当てはまる」、「まあ当てはまる」と回答した医師が多かった項目は、「就労支援に医療ソーシャルワーカーがかかわることが望ましいと考えている」(95.2%)、「治療による仕事への影響を説明する」(93.0%)だった。

 一方、「当てはまる」「まあ当てはまる」が少なかった項目は、「患者に、会社の上司に治療の見通しを説明し、理解を求めるよう伝える」(53.6%)、「患者の仕事の勤務形態(勤務日や勤務時間など)を知るようにしている」(66.1%)だった。

 残る3項目については、「仕事をなるべく休まずに受診できる配慮をする」が83.1%、「患者が会社に提出する診断書に、今後の治療の見通しや職場で必要な配慮を書く」が70.5%、「就労支援に看護師がかかわることが望ましいと考えている」が76.7%という結果になった。

 同様に、自らが所属する医療機関の体制についての6つの設問に対する回答で比較的多かった項目は、「医療ソーシャルワーカーによる就労に関する相談体制がある」(62.2%)、「問診票で患者の仕事に関する情報の記載を求めている」(60.0%)だった。逆に、少なかったのは、「放射線治療の日程を仕事の都合を考慮して決められる」(28.0%)、「看護師による就労に関する相談体制がある」(28.8%)だった。

 医療機関の規模や医師の専門科と就労支援体制の有無には有意な関連はほとんどなかったが、専門医の意識や行動については、いくつかの項目において支援体制との有意な関連が認められた。例えば、「会社を休まなくても受診できるように配慮する」と回答した医師と、医療機関側の「予約時間通りに受診できる」は有意な関連を示した。

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