直腸癌の手術で後遺症が残ったとして患者が病院を訴えていた事件で、東京高裁は2月24日、一審に続いて患者側が勝訴となる判決を下した。
この裁判は、1999年に筑波メディカルセンター病院(茨城県つくば市)で直腸癌の手術を受けた原告の冨田善弘氏(故人)が、手術ミスにより後遺症が残ったとして病院と担当医3人らを相手取り、約3500万円の損害賠償を求めて提訴していたもの。原告は、提訴後に病院の前で焼身自殺した(関連記事:2006.12.14「病院前で患者が抗議の焼身自殺」)。
一審の水戸地裁は、執刀医の使用者である病院側の過失を認め、慰謝料や逸失利益など総額約1370万円の支払いを命じたが、原告側は、医師個人の責任を認められないのは不服として控訴していた(関連記事:2008.10.21「患者が焼身自殺した医療訴訟で注目の判決」)。東京高裁の大橋貴明裁判長は、事故が発生した原因の解明は不可能だとして医師の責任は認定しなかったが、使用者である病院の賠償責任は認め、一審の約1370万円より約150万円の増額となる約1520万円の支払いを命じた。
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