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日医、ライフイノベーションWGの社会保障制度改革案に懸念
「抜本改革は公的医療保険の縮小につながりかねない」

日医副会長の中川俊男氏。2月16日の定例記者会見では、メディカルスクールの新設についても、「この4年間で医学部定員は約1200人増員された。これ以上増員するなら、教育に従事する医師が必要になり、医師不足がさらに進んでしまう」と述べた。

 日本医師会は2月16日、定例記者会見を開き、1月26日に行政刷新会議の規制・制度改革に関する分科会が発表した「中間とりまとめ(案)」に対する懸念を表明。「医療を成長産業と位置づけているが、医療が営利産業になったら、国民皆保険制度が縮小するのではないか」などの見解を示した。

 「中間とりまとめ」では、医療・福祉分野を担当するライフイノベーションワーキンググループ(WG)が、「地域主権の医療への転換」「病床規制の見直し」「医師不足解消のための教育規制改革」など、38項目について改革案を提示した。同WGは、今後の超高齢社会の到来に際して、社会保障制度を財源も含めて抜本的に見直すべきと指摘している。

 また、日本は医療の産業化においては他の先進諸国に遅れを取っているとして、(1)医療における地域主権を推進し、医療者の自立と主体的な経営を目指すことで医療資源の適正配置と有効活用を図る、(2)開かれた医療を実現し、グローバリゼーションの促進と透明性の高い制度改革を進める、(3)イノベーションにより、周辺産業も含めて医療産業を成長させ、国際競争力を強化する―ことが必要だとした。

 日医副会長の中川俊男氏は、「医師の増員や病床規制の見直しなど、既に厚生労働省などで議論が行われている問題に、口を出すような案はいかがなものか。これまでの議論を最優先すべきだ。また、『医療を成長産業に』とうたっているが、医療そのものと周辺産業の境界があいまいだ。医療に競争が持ち込まれれば、公的医療保険の範囲が狭まり、自己負担分が多くなることが危ぶまれる」と述べた。

 「地域主権の医療への転換」についても、「単に各地域に任せたのでは場所によって、受けられる医療の内容にばらつきが出てしまう。国が一定の基準を設けることは必要だ」と語った。「中間とりまとめ」は今後、政務協議、規制仕分けを経て、3月に閣議決定される予定。日医は「このまま決定されることのないよう、与野党に働きかけていく」(中川氏)方針だ。

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