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歯科医の協力で癌患者の合併症を予防
国立がんセンターと日本歯科医師会が歯科医療で連携

 国立がん研究センター日本歯科医師会は、癌患者に対する歯科医療で連携体制を構築する。まずは、がんセンターで手術を受ける予定の関東圏在住の患者を対象に、手術前に地元の歯科医を紹介し、口腔ケアなどを受けた上で手術を行う体制を整える。将来的には、全国のがん診療連携拠点病院と都道府県歯科医師会との連携に拡大させることも目指す。8月31日に合意書の調印式を行った。

 術後の肺炎や、化学療法や放射線治療後に生じる口内炎の予防などに、口腔ケアが重要なことが明らかになってきている(関連記事:2008.6.30「予防的口腔ケアで術後感染や口内炎を減らす」 )。また、骨転移治療に用いられるビスホスホネート製剤の副作用と考えられる顎骨壊死も、治療開始前の適切な口腔ケアで発症リスクを減らせることが示されている(関連記事:2009.10.19「顎骨壊死は予防できる」 )。

 しかし、がんセンターには、常勤の歯科医師が1人、非常勤の歯科衛生士が1人従事しているのみで、すべての癌患者に対して歯科医療を十分に提供できる状況にない。そのため、地域の歯科開業医の協力を得て連携体制を構築し、癌患者の歯科医療の充実を図る考えだ。約2年前から、連携のための準備を始めていたという。

 日本歯科医師会は9月末から、山梨、東京、埼玉、千葉、神奈川において、歯科医師向けの講習会を開催する予定。講習会を受講した歯科医師を連携歯科医師(日歯・国がん連携歯科医師)として認定し、認定を得た歯科医師にがんセンターが患者を紹介する。

 まず、初年度は手術を受ける予定の関東圏在住の患者を対象に取り組みをスタートさせる。2年目以降からは、癌化学療法治療前の患者や頭頸部放射線治療の前後の患者、終末期の患者などに対象を拡大していく。

 日本歯科医師会会長の大久保満男氏は、前任の静岡県歯科医師会長時代に、癌患者の口腔ケアで先進的な取り組みを行っている静岡県立静岡がんセンターと静岡県歯科医師会の連携体制を構築した経験を持つ。ただし大久保氏は、「小さなコミュニティーの中だから成果が上がったのかもしれない。日本の中心であるがんセンターとの試みがうまくいけば、大きな意味があるだろう」と、がんセンターとの連携が日本各地に対するモデルとなると強調した。

 実際、下表に示したように、全国のがんセンターにおける歯科スタッフは不足しているのが現状だ。各地のがんセンターにおける歯科スタッフの不足を地域連携で補うことができれば、癌患者の治療に伴う副作用の軽減、生活の質(QOL)の改善につながると期待される。

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