日経メディカルのロゴ画像

新型インフルエンザA/H1N1
新型インフルによる喘息発作にはステロイドが有効
小児アレルギー学会が診療の手引きを発表

 日本小児アレルギー学会の「小児喘息・アレルギー患者の新型インフルエンザ対応ワーキンググループ(新型インフルWG)」は、4月25日、岩手県盛岡市で開催された日本小児科学会で緊急報告を行い、新型インフルエンザに関する新たな調査結果と「小児気管支喘息の新型インフルエンザに対する診療の手引き 暫定版ver.3(診療の手引きver.3)」を公表した。調査結果診療の手引きver.3は、同学会ホームページからも入手可能だ。

 日本小児アレルギー学会は09年8月に新型インフルWGを発足させて以降、これまで診療の手引きver.1、ver.2を公表してきた。今回とりまとめた診療の手引きver.3は、同学会が実施した新たな調査結果に基づき、改訂が加えられたものだ。

 新たな調査では、新型インフルエンザと診断され入院した0~19歳の小児のうち、既往歴に喘息を持つ患児と、基礎疾患のない患児を比較した。09年12月25日までに全国61医療機関で後ろ向きに862例を登録。そのうち喘息以外の基礎疾患を持つ患児などを除いた816例について、喘息患児390例と基礎疾患のない426例に分けて比較解析した。

 症例の入院理由を比較したところ、喘息患児では呼吸器症状が81.0%、神経症状が8.5%だったのに対し、基礎疾患なしの患児では呼吸器症状が45.8%、神経症状が32.4%となり、喘息患児では呼吸器症状を呈した症例が有意に多かった。そこで呼吸器症状により入院した喘息患児315例と基礎疾患のない195例について、さらに解析を実施。その結果、呼吸障害の出現があった割合は、喘息患児では95%に上ったが、基礎疾患なしでは76%と、喘息患児では呼吸障害が有意に出現しやすいことが分かった。

 また、喘息患児では、より早期に呼吸困難が出現する傾向があったものの、基礎疾患のない患児でも発熱から24時間以内に88.5%が呼吸困難を呈し、全体として発熱後、急速に呼吸困難が出現することが分かった。入院時または入院中のroom airでのSpO2最低値は、喘息患児で平均90.8%、基礎疾患のない患児で平均92.6%と喘息患児でより低かった。

 入院理由が呼吸器症状だった患児のうち、人工呼吸器を使用したのは、喘息患児で4.2%、基礎疾患のない患児で1.6%だった。胸部X線画像では、喘息の既往の有無にかかわらず、気管支炎肺門部陰影浸潤影が多く、無気肺が目立った。

呼吸器症状を呈した症例の多くにステロイド投与
 調査では、入院理由が呼吸器症状だった患児の多くに抗インフルエンザウイルス薬に加えて、ステロイドが投与されていたことも明らかになった。ステロイドが(追加)投与されたのは、喘息患児のうち231例、基礎疾患のない患児のうち109例。大部分がステロイドの静注だったが、中にはパルス療法を実施した症例もあった。静注の効果については、喘息患児でも基礎疾患のない患児でも85%以上が著効または有効と報告されており、静注でもパルス療法でも悪化したとの報告はなかった。

この記事を読んでいる人におすすめ