米食品医薬品局(FDA)は10月23日、未承認の抗インフルエンザ薬ペラミビルを、2009 H1N1の感染が確定した、または感染が疑われる特定の成人と小児の入院患者に適用することを認める緊急使用許可(EUA)を出した。
ペラミビルは、米BioCryst Pharmaceuticals社が開発した新規の静注用ノイラミニダーゼ阻害薬で、米国での開発は現在フェーズ3段階にある。日本では塩野義製薬がこの製品の開発を行い、年内に承認申請提出が予定されている。
今回、ペラミビルの使用が認められる患者は、以下に限定される。
・臨床的に静注薬による治療が適していると見なされる成人患者で、1)経口型と吸入型の抗インフルエンザ薬に反応しない症例、2)静注以外の投与経路では効果が期待できない、または静注以外での投与は不可能な症例、3)担当医がその他の理由で静注が適切と判断した症例。
・ 臨床的に静注薬による治療が適していると見なされる小児患者で、1)経口型と吸入型の抗インフルエンザ薬に反応しない症例、2)静注以外の投与経路では効果が期待できない、または不可能な症例。
他のノイラミニダーゼ阻害薬のいずれかに重症のアレルギー反応を示した患者と、ペラミビルの成分のどれかに対する重症のアレルギーを有する患者には投与してはならない。また季節性インフルエンザ感染者、2009 H1N1感染の外来患者には適用できず、感染予防を目的とする使用も認められない。
FDAは細かい使用の条件と当局の判断について、下記のように述べている。
・1コースの治療は、600mgを1日1回、30分以上かけて静脈内に投与、5日間適用が原則となっており、状況に応じて延長は可能。現段階では、5日を超えて使用した場合の安全性と有効性に関する情報は限られているが、重症化した患者には、より長期の投与が有効かもしれない。
・腎機能の低下が認められる、または疑われる患者については、クレアチニンクリアランスを測定し、ペラミビルの用量を計算する。
・小児については、これまでに行われた臨床試験の対象に含まれていなかったため、ペラミビルの影響は未知数だ。しかし利益はリスクに優る可能性があり、条件を満たす小児患者への使用を認めた。
・妊婦についてもデータはないため、医師と患者が話し合って利益がリスクを上回ると判断された場合に使用する。
・オセルタミビル、ザナミビルとの併用は抗ウイルス作用の増強をもたらす可能性も示されているが、推奨されない。
・オセルタミビル耐性が確認されている、または強く疑われる2009 H1N1感染者には使用すべきでない(交差耐性を持つウイルスの存在が示唆されているため)。ザナミビル耐性のウイルスに対する活性は調べられていないため、ザナミビル耐性ウイルス感染者にペラミビルを投与する場合には、観察を怠ってはならない。
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