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医療政策を巡って自民党・民主党が公開討論
民主・枝野氏「医師は1.5倍増が妥当」
自民・大村氏「マニフェストにプラス改定を必ず盛り込む」

自民党・大村氏と民主党・枝野氏

 7月7日、特定非営利活動法人「言論NPO」は「自民党×民主党 政策別公開討論会」を都内で開催した。自民党からは大村秀章厚生労働副大臣、民主党からは衆議院議員で民主党医療制度調査会会長の枝野幸男氏が招かれ、報道関係者ら数十人の前で、医療政策を巡って議論を行った。「言論NPO」(代表:工藤泰志氏)は日本の課題について、建設的な議論を提案できる非営利のメディアを作ることを目的として2001年に設立された組織。この公開討論会は、衆議院の解散総選挙を控え、各党の政策を評価するために行われた。

 最初に、今後の社会保障の方向性について両氏が意見を述べた。大村氏は「社会保障費は2009年度の予算ベースで約99兆円と、GDPの約2割を占めている。高齢化社会が進めば、これからも社会保障費は増えていくので、これをどう支えていくか。従来の社会保障は高齢者に重点が置かれていたが、今後は子ども・若者への支援も充実した『切れ目のない社会保障』の制度にしていきたい。そのためには、安定した財源が必要。財源の確保のために、今回の予算案では自然増分の1兆900億円をそのまま認めた。景気回復が前提だが、将来2011年以降には消費税を増税し、財源に充てたい」とした。

 枝野氏は「これまでの社会保障制度は、人口増を前提として制度設計がされており、少子高齢化の現在とは前提が異なるので、従来の制度を維持するのは不可能。これまでは公共事業に多額の税金が使われてきたが、今後は社会保障を中心とした方針に転換すべき。不要な公共事業は中止し、その分を医療・介護の人件費に充てる。医療保険が職域を基にした被用者保険と居住地を基にした国民健康保険の2つに分かれているため、医療保険全体の財政状態がどうなっているのかが分かりにくい。これらを統合し、一本化して医療保険の財政状況を検証することが必要だろう」とした。

 続いて両氏に対して、この日の司会を務めた「言論NPO」代表の工藤泰志氏から(1)医療保険財政の持続性について(2)医療崩壊、医師不足をどうするか―について質問が出た。

 枝野氏は医療保険制度の一元化が必要とした上で、「保険料が実際どれくらい不足しているのかを見える形にする。そこで判明した不足分は、税金で補うしかないだろう。高齢化が進めば、当然医療費は増えていくが、先進諸国と比較しても、医療費を抑制する必要はないと考えられる。しかし、削減できる部分もある。現在、医薬品・医療機器の承認にコストがかかりすぎているので、これを人件費に充て、特に小児科・産科・外科の勤務医に支払われるようにしたい。診療報酬の1~2割の増額は保証する」。また、医師増員に関しては「現在の1.5倍増が妥当な人数だと考えられるので、そこはあまり違いはないだろう」とした。

 大村氏は安全性を確保した上での医薬品や医療機器の承認コストの削減には賛成した上で、「国民が安心して医療を受けられるために、国民皆保険制度を堅持しながらも、WHOから世界一と賞賛された医療水準をどう維持するか。この制度を維持するためには、後期高齢者医療制度と国民健康保険の2つがセットになる。まず、後期高齢者医療制度をより透明で分かりやすい制度にしていく。国民健康保険は財政状況が厳しいので、公的助成を拡大していく」とした。また、医師不足対策については「2008年、09年と医学部定員を増員し、2010年も増員を予定している。医師の増員だけでなく、地域の偏在も是正したい」とした。

 続いて、(1)自民党の「地域医療再生基金」を設立して地域医療を支援する方式と民主党の診療報酬引き上げによる方式の違い(2)中医協はどうあるべきか(3)コメディカルは増員すべきか――についてコメンテーターの東大医科学研究所特任准教授の上昌広氏から質問が出た。

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