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新型インフルエンザA/H1N1
60歳超の3割はブタ由来H1N1に対する交差抗体を保持

 近年接種された季節性インフルエンザA(H1N1)に対するワクチンは、ブタ由来A(H1N1)に対する免疫を付与できないことが示された。一方で、成人、特に60歳を超える年齢の人々の一部に、ブタ由来A(H1N1)に対する交差抗体が認められたことも明らかになった。米疾病管理センターCDC)のJacqueline Katz氏らの分析結果で、疫学週報(MMWR)に2009年5月22日付で報告された。

 Katz氏らは、2005年以降に接種された季節性インフルエンザに対するワクチンの接種前と接種後に、健常な小児と成人から採取され保管されていた血清標本を、学究機関、政府機関、企業から入手し、ブタ由来A(H1N1)に対する交差反応抗体のレベルを調べた。

 その結果、小児では、ワクチン接種前、接種後のいずれにおいても、ブタ由来A(H1N1)に対する交差反応抗体は検出されなかったが、成人では、ワクチン接種前でも、18~64歳の6~9%、60歳超では33%が交差反応抗体を持っていた。接種後には、抗体価は18~64歳で2倍に上昇する一方、60歳超の集団では抗体価の上昇はごくわずかだった。

 米国では、3価の不活化ワクチン(TIV)の筋注以外に、弱毒化生ワクチン(LAIV)の経鼻投与も行われている。ワクチン株には、2005-06と2006-07はA/New Caledonia/20/1999、2007-08はA/Solomon Islands/3/2006、2008-09はA/Brisbane/59/2007が用いられた。今回、Katz氏らが抗体価測定に用いたブタ由来A(H1N1)はA/California/04/2009だ。

 まずKatz氏らは予備実験として、一部の血清を用いて血清の抗体価を測定した。測定には、マイクロ中和(microneutralization;MN)試験と、赤血球凝集阻害(HI)試験を行った。

 予備実験の結果、ワクチン株については、MNとHIの力価の相関は高かったが、A/California/04/2009においては、HIよりMN試験の方がより高い力価を示し、血清転換(抗体力価が4倍以上に上昇)が検出される割合も高かった。そこで、今回は、予防接種前と予防接種後の交差反応抗体の評価にはMN試験を用いることにした。

 ただし、HI抗体力価が40倍以上になると、インフルエンザ感染または発症リスクは2分の1以下になることが知られているのに対して、MN試験の抗体力価と実際の防御効果の間の関係は不明だ。そこでKatz氏らは、線形回帰モデルを用いて、季節性インフルエンザウイルスに対するHI力価が40倍に相当するMN力価を予測した。

 その結果、小児患者ではHIの力価40はMNの力価40に相当し、成人ではHI力価40はMN力価160以上に相当することが予測された。従って、小児ではMN力価40以上、成人では160以上の場合を交差防御性あり(つまり、インフルエンザ感染または発症リスクが2分の1以下になるレベルの交差反応抗体が存在する)と判断することにした。

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